ブランディングとは?ブランド戦略に必要な3つの要素と3つの環境

ブランディングとは

ブランディングとは、ある商品やサービスのコンセプトを特定のユーザーに価値があると認識させ、市場でのポジショニングを築くマーケティング戦略のことを言います。

企業はブランディングを確立することで、市場から商品に対する価値とともに共感や信頼などを得られるため、差別化された顧客を獲得できます。

ブランディングと聞くと、エルメスやグッチなどの高級ブランドをイメージし、一部の商売にしか当てはまらないと思う人も多いでしょう。ブランディングが、高級商品のみの特別なことだという考えは間違いです。

ブランディングは、ほとんどの商売において重要な戦略であり、昔から行われてきました。商店街の八百屋でも、近所の駄菓子屋でも、今商売を行えているなら、何らかのブランディングされた特徴を持っています。

「商店街の八百屋?近所の駄菓子屋?」一見ブランドとは縁がなさそうな商売でも、商品が買われるのは消費者が価値を感じているからです。

それは、使い勝手の良さであったり、商品の新鮮さであったり、店主の気前の良さであったりを消費者が価値として認識し、店主も偶然・必然問わず、その価値を商売の礎としているためです。

つまり、私たちがもっとブランディングを意識し、ブランドに根差したビジネスを行えば、より消費者に支持され、よりビジネスを成功に導ける可能性が上がるということです。

今回は、そのブランディング戦略を意識するために必要な、3つの要素と3つの環境をご紹介していきます。

ブランディングに必要な要素

コンセプト

ブランディングには必ずコンセプトが必要です。コンセプトの意味は物事の基本概念ですが、商売で言うコンセプトとは、「誰が、誰に、何を、どのように伝えるか」を指します。

今あなたが持っている物は、”あなた”に必要な情報が正しく伝わったため、手元に存在しています。つまり、あなたにとってその商品を持つ価値(ベネフィット)がコンセプトによって決められていたことになります。

商品やサービスに設定されたコンセプトは、USP(Unique Selling Proposition:商品やサービスが持つ他社とは違う強み)から作られ、企業自体に設定されたコンセプトは、経営理念や企業理念から作られます。

また、あなたにとっての価値とは金銭や物理的なものばかりではなく、「みんなが使っているから安心して使える。」「誰も使っていないから特別感がある。」という精神的なものも含まれます。

ターゲティング

コンセプトにおける「誰に」を設定することがターゲティングです。ターゲットがズレてしまうと、商売はうまくいきません。

たとえば、小学生に「マンガで分かる節税対策」という本を紹介しても、高齢者に「10年後の次世代ゲーム機」を勧めても、その価値は伝わらないでしょう。

そこで、ターゲットにズレが生じないよう、ペルソナを用いたターゲティングを行います。ペルソナとは、会社の商品やサービスに対する理想の顧客像のことです。

世の中の人は、性別、年齢、職業、家族環境、生活環境、経済環境など「デモグラフィック」と「サイコグラフィック」という要素の組み合わせによって、細かく分類されます。

商品を提供したときに、どのような要素を持ち合わせた人に一番メリット(ベネフィット)があり、喜んでもらえるかを追求した人物像がペルソナです。ブランディングはこのペルソナに対して行われます。

ポジショニング

ブランディング戦略にとって、もっとも重要なものはポジショニングです。

商品やサービスを、誰に、どの規模で提供するかによって、市場のポジショニングが変わります。そして、企業のポジションが変わることで、商圏や戦略も変わります。

たとえば、こだわりの水、土、肥料、環境を基に、日本一美味しい大根を年間50トン生産している農家があるとします。卸先は、その大根に価値を感じて、破格の1kg500円で購入してくれる近隣の有名料理屋数十店舗。

もしこの農家が全国の人に大根を食べさせたいと思ったら、生産量を上げる投資が必要になり、生産量が上がれば1kg500円という値段もあり得ません。

この農家は生産量を上げてリスクを侵す必要はなく、日本一美味しい大根を作り続けるという価値を特定の料理屋に認めさせることで、商圏を絞った最適なポジショニングを行っています。

反対に、世界的企業のユニリーバは、BOPビジネスによって、1日に20億人に自社商品を提供しています。

BOPビジネスとは
BOP(Bottom Of Pyramid)ビジネスとは、世界中に40億人いると言われている貧困層に対するビジネスのことを言う。貧困の削減・社会問題の解決を提供することで、BOPの経済発展を促し、未開拓市場におけるブランディングを成功させるための方法のこと。

BOPビジネスには、「対象人数が多いこと」「商品単価が安いこと」「利益率が高いこと」「将来的に経済発展が予想できること」という4つの要素が必要になる。

ブランディングが行われる3つの環境

次に、ブランディングが行われる環境を見ていきます。ブランディングとは、以下の3つの環境で行われます。

世の中に全く存在しない新しい商品を作り、需要を創出する

イノベーションや発明と言っても良いもので、世の中にこれまでなかった価値観を作り出すことでブランドができあがります。

そしてその多くは、車、インターネット、電気、金融構造などのインフラになることが多いはずです。

今後伸びていきそうな市場をいち早く認識し、パイオニアになる

イノベーションや発明ではないものの、その市場の未来を見据えて、先行者メリットを獲得する価値を作り出すことで、ブランドができあがります。

近年で言うと、インターネット上で行われている新しいビジネスモデルがこれに該当します。

既にある市場の中で独自性を築き、特定層からの価値を得る

そして、もっともブランディングという言葉でピンとくるパターンがこちらです。

近所で評判の美味しい肉屋と精肉も取り扱う大規模商業施設は商売の規模が違いますが、どちらも精肉取扱店の1つに過ぎません。

世の中のビジネスの99%以上が、誰もが行っている目新しくない商売において、独自のコンセプトを作り、明確なターゲットを設定し、適切なポジションを獲得することで、ブランディングを行わなければいけません。

ブランディングに対するよくある疑問

では、今回説明したことを踏まえて、おさらいがてらブランディングに対するよくある疑問をいくつか解決しておきましょう。

ブランディングは誰に対して行うの?

ブランディングは全ての人に行うわけではなく、ペルソナを基に商品やサービスの見込客になる人たちに対して行います。

もしフェラーリが100万円で販売されたら、購入者は大幅に増えるでしょう。ただし、壊れると修理費が高すぎて、ほとんどの人が修理せずに売却してしまうはずです。そして、2度とフェラーリを買おうとは思いません。

さらに、フェラーリが市場に大量に出まわるため、これまでフェラーリを好きで乗っていたオーナーの価値観も下がってしまいます。これは市場でのブランド崩壊に繋がります。

フェラーリは、私たち庶民に対するブランディングは必要ありません。フェラーリを購入できるステージにいる人に対して、価値が伝われば良いわけです。

ブランディングは何を伝えれば良いの?

ブランディングで伝えることは、企業や商品、サービスに設定したコンセプト(USP)です。

コンセプトで分かりづらければ、企業理念でも良いですし、商品のウリでも良いです。「俺が目指していること」と言い換えても良いでしょう。あなたが商売を行ううえで普段から大切にしていることです。

先程の農家の例で言うと、「こだわりの水、土、肥料、環境を基に、日本一美味しい大根を作る」ことがブランディングで伝えるコンセプトです。

ブランディングにかかる費用はいくら位?

ブランディングにかかる費用に明確な決まりはありません。月々数万円をブランディングコストにする企業もあれば、数億円単位でブランディングにつぎ込む企業もあります。

ブランディングは一朝一夕で行えるものではないので、企業規模と商圏に見合った投資を行えば良いのです。もちろん、規模と商圏によっては、広告と同じようにメディアを使ったブランディングも必要になります。

ブランディングを行うためのツールは?

ブランディングを行うツールにも決まりはありません。自分たちがターゲットと見据えた人に、効率良くコンセプトを伝えられれば何でも構いません。

ブランディングツールの事例
・テレビCMを使う
・既存雑誌媒体を使う
・折込チラシを使う
・リストに対してDMを使う
・メルマガを発行する
・機関紙を発行する
・WEBサイトで情報を発信する
・駅前でチラシ配りを行う
など

ブランディングを行う期間はどれくらい?

企業の経営方針や商品・サービスへのこだわりなどは、商売を行う限りずっと持ち続けているものです。ブランディングはコンセプトを伝える行為なので、期間に決まりはありません。

ブランディングの効果を高めるためには、コンセプトを崩さない一貫した姿勢や顧客とのコミュニケーションを継続しなければいけません。

宣伝広告の結果と違って形が見えづらいものなので、ブランドが形成されるまでは時間がかかります。そして、明確なゴールもありません。

ブランディングに必要な3つの要素と3つの環境まとめ

私たちのビジネスのほとんどは、「既にある市場の中で独自性を築き、特定層からの価値を得る」環境に属します。

そのため、「誰が、誰に、何を、どのように伝えるか」というコンセプトを明確にし、一定の支持を得るという基本的なブランディングが必要になります。

コンセプト、ターゲティング、ポジショニングから作られたブランディングによって、価値を感じさせられるものは以下のどちらかです。

「商品やサービスに価値を感じてもらう」
「企業や人に価値を感じてもらう」

どちらも大切な要素ですが、両者を一度にブランディングすることは難しいでしょう。それぞれのブランディング手法に関しては、また別途お伝えしたいと思います。

次は、勘違いしやすいブランディングと宣伝広告の違いについてお話します。