あなたの嫌いなダメ上司はCIAの優秀な工作員かも…という話

嫌いなダメ上司はCIAの優秀な工作員かも

嫌いな上司が工作員かもという話

「CIAのサボタージュマニュアル」を知ってますか。CIAには、敵対組織に工作員を送り込んで、内部から弱体化させるマニュアルがあるそうです。実は、2015年ごろから話題になっていて、わたしが知らないだけでした。

先日YouTubeで『「サボタージュマニュアル」がヤバすぎる…』というマックスむらいさんの動画を見たところ、内容が面白くて共感したので、そのお話。

あなたの周りにいる、仕事ができなくてうっとうしいダメ上司をイメージしてください。そんなあなたが嫌いな上司は、実は仕事ができない風を装ったスパイかもしれません。

今回のテーマ
今回は、なぜ日本の組織・会社が今後弱体化していくかを知りたい人のために、以下の内容をお話します。

  • CIAのサボタージュマニュアルとは
  • サボタージュマニュアルの内容
  • 日本型組織がサボタージュマニュアルに当てはまる理由
  • 組織の弱体化を防ぐ方法はある?

それでは早速見ていきましょう。

CIAのサボタージュマニュアルとは

サボタージュマニュアル(Simple Sabotage Field Manual)とは、第二次世界大戦下、アメリカの諜報機関CIA(中央情報局)の前身であるOSS(戦略諜報局)が、敵組織に潜入して内部破壊工作を行うスパイ向けに作ったマニュアルのことです。

サボタージュは「なまけること」、サボるの語源です。つまり、敵の組織に潜入してサボったり、部下にサボらせて、組織を弱体化させる恐ろしい手法です。

CleanedUOSSSimpleSabotage_sm.pdf」これが、CIA公式サイトの原文です。

サボタージュマニュアルは、以下の5章構成になっています。

  1. INTRODUCTION.
  2. POSSIBLE EFFECTS.
  3. MOTIVATING THE SABOTEUR.
  4. TOOLS, TARGETS, AND TIMING
  5. SPECIFIC SUGGESTIONS FOR LIMPLE SABOTAGE.

CIAの「組織崩壊マニュアル」から読み解く、日本企業のヤバイ悪弊(加谷 珪一) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

サボタージュマニュアルの内容

サボタージュマニュアルの内容は、要約して言及している人が何人もいます。以下は一例です。

  1. 「注意深さ」を促す。スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をすべき、と「道理をわきまえた人」の振りをする。
  2. 可能な限り案件は委員会で検討。委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5人以上。
  3. 何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない。
  4. 会社内での組織的位置付けにこだわる。これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてよいのか、といった疑問点を常に指摘する。
  5. 前回の会議で決まったことを蒸し返して再討議を促す。
  6. 文書は細かな言葉尻にこだわる。
  7. 重要でないものの完璧な仕上がりにこだわる。
  8. 重要な業務があっても会議を実施する。
  9. なるべくペーパーワークを増やす。
  10. 業務の承認手続きをなるべく複雑にする。1人で承認できる事項でも3人の承認を必須にする。
  11. 全ての規則を厳格に適用する。

CIAの「組織をダメにするマニュアル」が話題。内容が日本企業の体制そのもの!? | 日刊SPA!

日本の会社組織に当てはめてみると

これを今の会社組織に当てはめて、わかりやすい上司像を作ると以下のようになります。

「物事は急ぐと問題が発生する。些細なことでも、きっちり手順を踏んで進めるべきだ。」

こういう上司いますよね。一見正しいことを言っているようですが、これでは効率的な方法を考えることを放棄してしまいます。

「組織の物事の決定は、専門会議を行うべきだ。各部署から責任者を入れてすべて検討しよう。」

こちらも一見正しいように聞こえますが、単純に担当者に裁量と権限をもたせたがらない上司です。「日本は民主主義だから」などと言い始める上司もいます。

「まずわたしに相談しなさい。独断で動かないことが組織を守るルールだ。」

部下が独断で動いて成功したら、その判断に憤慨する上司がいます。そして、成功がたまたまだったとレッテルを貼り、その方法を潰そうとします。

「その判断はわたしにはできない。どんなことも上の決定を仰いだ方がうまくいく。」

相談しろと言ったくせに、自分で判断しないで、なんでも上申する上司は少なくないですね。時間もかかるうえに、そもそも上層部が現場を理解しているとは思えません。

「以前の議題をもう一度まとめて説明してくれ。穴があるかもしれない。」

前の会議で決まったことを覚えずに説明させる上司もいますね……。しかも、小さな穴を探してつついてきます。今そんな小さな事を話しても意味ないのに。

「資料は統一性が大事なんだ。言葉の使い方が悪いと相手の頭に入らないぞ。」

やたら資料の誤字脱字、どうでも良い文章の体裁にこだわる上司もいます。

「資料をまとめるときはこのファイルを使って、ここにパンチしないと効率悪いだろ。」

「あなたのこだわりに付き合っているこっちの方が効率悪くなるんだけど……。」とは言えず、とりあえず言われた通りにやりますが、実際効率は良くなりません。

「お前らが忙しいことはわかってる。けど、この会議は今やる必要がある。」

納期間近なときに限って「会議やるぞー」という上司がいます。徹夜で手伝ってくれれば、そのがんばりに応えるために、「ありがとうございます。では会議をやりましょう。」くらい言えるんですが。

「ペーパーレスって言っても、必要な紙文化は残るものなんだよ。」

ペーパーレス化の努力をまったくしようとせずに、自分が必要な紙の作業を残して、部下にやらせるのだけはやめて欲しいものです。

「この件は営業部の1課と2課が絡むけど、承認フローはどうなるんだ?」

とにかく、仕事には承認フローがあってしかるべきと考えている上司はいます。課や部署の調整をして、手続きをより簡略化するのが上司の仕事だと思うんですが、くだらないことで承認フロー作らないと気がすまないのでしょう。

「この会社が続いてきたのは俺たちが細かな規則を作ってきたからだ。」

たしかにルールは大事ですし、ルールがあることで時間短縮になることも多いです。一方、ルールは見直さなければ陳腐化してしまいます。

日本型組織がサボタージュマニュアルに当てはまる理由

CIAのサボタージュマニュアルは、他にも以下の内容があります。

  • 会議では個人的な経験を交えた長いスピーチをすること
  • かかってきた電話をたらい回しにすること
  • とにかく指示を仰いで、理解できないことは何度も聞き直すこと
  • 自分のスキルや経験は安易に新人に教えず、見て学ばせること

マックスむらいさんは、動画の中で「こんな人いたらやばい。」を連発してましたが、ほぼ日本企業の悪いところに当てはまっていて、怖さを感じました。

サボタージュマニュアルを紐解くと、どれだけ日本の会社が非効率的かよくわかります。会社だけじゃありません。政治家やお役所仕事、町内会やPTAも似たところはあります。

もちろん、あなたの嫌いな上司は工作員ではありませんが(多分)、心から良いと思って非効率的なことをしているからこそ、たちが悪いんです。

伝統を重んじ、目上の人を立てる日本人の国民性は良い面ですが、効率的な仕事や改善の観点で見れば、悪い国民性です。

組織の弱体化を防ぐ方法はある?

今の日本の組織の弱体化を防ぐ方法は…………おそらくないと思います。

なぜなら、この悪い慣習を守っている人の方が社会的に力が強く、圧倒的に数が多いからです。どれだけ正論を言っても通じません。

「なぜ非効率的なことをするんですか?」と聞いてみてください。きっと「昔から決まってるから。」「その方がうまくいくから。」「これが日本の伝統だから。」「お前はわかっていない。」など、わけのわからないことを言うはずです。

あなたが取れる方法は2つしかありません。

1つは、自分たちの時代が来るまで待つことです。

非効率的なことをしないように気をつけ、自分の周囲の賛同を取り付け、10-20年の単位で力をつけます。ただし、そのときまで組織があるかはわかりません。

また、いつの間にかサボタージュマニュアル的な考え方に染まっているかもしれません。だって、上にいくほどそっちの方が楽になるので。

もう1つは、自分たちで少数の効率的な組織を作ることです。わたしは、随分昔にこちらを選びました。

今のある程度守られた組織を抜けて、効率的な動きができる新しい組織を作ります。今後、大きな組織もどうなるかわかりませんし、幸い今の時代は一人でも生計を立てられる手段がある時代です。

より効率的な仕事をする方が組織や組織の上層部にとっては面倒で自分の地位を脅かすこと、非効率的な仕事をする方が上層部にとって楽になること、というのは皮肉ですね。

なぜなら、非効率的な仕事をするほど、会社の力は相対的に弱っていくわけですから。

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