目次 ▼
議事録を取るのは時代遅れなのか
みなさんは、普段の打ち合わせで議事録を書いていますか。
最近は、PCやタブレットで議事録を取る人が増えましたし、スマホで録音する人もいます。議事録を取らない人もいます。
わたしも初めて会う人と雑談程度の顔合わせなら議事録はいらないと思いますが、仕事の要件定義やお金の話し合いだけは、ノートに議事録を書くことを推奨しています。
なぜこの時代にアナログなノートで議事録を取るのか…………それは、議事録を取ることで、相手を自分のペースに巻き込めるメリットがあるためです。
- 議事録を書くメリット
- 効果的な議事録の書き方
- 議事録を書くデメリット
- 議事録が合わない業種や仕事内容もある
それでは早速見ていきましょう。
議事録を書くメリット
議事録を書くのが面倒な人は多いと思いますが、もっと面倒なことは、ちょっとしたことで相手と揉めることです。
お金の話や細かな作業の話がからむ打ち合わせでは、ニュアンスの違いが後から言った言わない問題になります。ということを踏まえたうえで、議事録を書くメリットは次の3つが考えられます。
- 相手の要望の抜け漏れをなくせる
- 言葉の細かなニュアンスを確認できる
- 議事録を取ることで相手の同意を得られる
相手の要望の抜け漏れをなくせる
複数の人で話し合いをすると、相手の言ったことは覚えていなくても、自分が言ったことは何となく覚えていて、それを後から主張してくることは考えられますね。
しっかりと議事録を取っておけば、相手の要望など「あれ……?そんなこと言ってたっけ。」という抜け漏れをなくすことができます。
言葉の細かなニュアンスを確認できる
言った言わない問題が起こるのは、1つの議題の決着が曖昧になって、次の議題に移ってしまった場合です。
発言者それぞれが自分の都合の良いニュアンスでしゃべっているので、ニュアンスを含めて議事録を取っておけば、後からどのような気持ちで話したのかを確認できます。
議事録を取ることで相手の同意を得られる
打ち合わせの内容、流れがわかる議事録を取って、相手に議事録を確認してもらうことで、意見の食い違いを回避できます。ここが今回の肝です。
ビジネスマン同士の会話は、すべて本音で話すことはありません。そのため、自分の都合の良い話し方をして、何となく同意をとって話を次に進めようとします。
議事録を取っていれば、曖昧な部分、ニュアンスでどちらにも取れる部分を自分の思惑寄りに書くことができます。たとえば次の例で、Bさんが議事録を取っていたとします。
B:では、細かな作業は別見積りになりますが、よろしいでしょうか。
A:予算次第なので、見積りを頂いてから検討させてください。
B:わかりました。では、細かな部分は後日ヒアリングをさせてください。
とてもわかりやすい会話の流れですが、打ち合わせ中は以下のように話しているかもしれません。
B:うーん、今の予算だと収まるかどうかわかりませんが、もし調整して足が出た場合は別お見積りになってしまいます。
A:なるほど。では、どちらにしても何とか調整していただいて、後は予算の問題なので……見積りを頂いてから検討させてください。
B:わかりました。では、細かな部分の調整はまた別にヒアリングをさせてください。
伝わるでしょうか。Bさんの遠慮がちな物言いに対して、Aさんは何とか予算内で収めてくれることを期待しています。ただ、両者の言い方はとても曖昧です。
この会話の流れだと、もし予算内に収まらなければ、BさんはAさんに対してその理由を説明しなくてはいけません。
どちらにも取れる会話の流れなら、議事録で曖昧なニュアンスを自分寄りに記録し、それを相手に見せて同意を取ることで、こちらのペースに巻き込むことができるわけです。
効果的な議事録の書き方
打ち合わせをしながら、これだけ細かく議事録を取れるかというと不可能です。そのため、議事録の書き方にはいくつかのポイントがあります。
- 誰が何を話したかを書く
- 左側に事実を書き、右側に背景や思いを書く
- 自分が理解できる文字で書く
- 後から対話形式の議事録に仕上げる
誰が何を話したかを書く
重要なことは、誰が何を話したかをメモすることです。発言者の立ち位置によって、発言内容の重要性が変わります。
左側に事実を書き、右側に自分の思いを書く
議事録はA4ノートがベストだと思います。書き方は、左側に発言内容などの事実をメモ程度に書いて、右側に背景や自分の思いを書きます。
この書き方は、ショールームを立ち上げた前田裕二社長の著書「メモの魔力」の内容と似ていますね。「メモの魔力」では、左側に出来事など事実を書き、右側に気付きや学び、自分の発想など抽象的なことを書くそうです。
自分が理解できる文字で書く
議事録は、きれいに書く必要はありません。後から自分で見直して会話が思い出せればOKです。左側のぶつ切りの会話で思い出せなくても、右側の思いや背景を合わせるとある程度思い出せます。
後から対話形式の議事録に仕上げる
議事録は、相手に見せて同意を得る必要があります。そのため、後から思い出して、対話形式の議事録に仕上げなければいけません。
議事録を書くデメリット
もちろん、議事録を書くのは良いことばかりではありません。次の3つがデメリットとして考えられます。
- 並行作業なので書くのが大変
- 話を聞かないやつに見られるかも
- 議事録が無駄になる場合もある
並行作業なので書くのが大変
もし1人の打ち合わせだと、話をする、話を聞く、議事録を取るという並行作業になるため、とても大変です。ある程度慣れるまでは、要点の記録だけで手一杯になるでしょう。
話を聞かないやつに見られるかも
かなり前の話、前田裕二社長がテレビ番組に出演したときに、人と話をしながらメモを取ってる映像が流れ、案の定Twitterで「人の話聞けよ。」的なツイートがありました。
話を聞いてるからこそメモを取れるのですが、世の中にはそういう風に思う人もいるということです。
議事録が無駄になる場合もある
打ち合わせで議事録を取ることにはメリットがありますが、重要な議題でなければ意味がありません。
人によっては話が脱線してしまい、核心に迫らずに話が終わってしまうこともあります。自分で話をコントロールできれば良いのですが、それが難しい場合もあります。
また、そもそも思い出して書くことが多いため、とても時間がかかります。
議事録が合わない業種や仕事内容もある
「前回の議事録です。内容に間違いがないか確認をお願いします。」
ニュアンスで左右される部分だけこちらの言い分で書き、話の大筋さえ捻じ曲げなければ、この議事録でほぼOKが出ます。嘘を書くわけではないので、相手にも打ち合わせ内容を都合の良いように思い出してもらえます。
また、このような議事録を取った後のメリットとしては、相手からの見られ方が良くなります。まぁほぼ正確に発言内容を書き起こしてあれば、そうなると思います。
メモを取りながら話したり聞くことに慣れると、他の会話中の思考力も上がります。
後は、議事録を思い出して書くと、打ち合わせで曖昧になった部分がわかるので、そこを合わせて質問でき、仕事をスムーズに進められるようになります。
もちろん、わたしの仕事は、このような議事録を書いた方がメリットがあっただけで、他の業種や他の仕事すべてで同じようなメリットがあるとは思いません。
ちなみに、音声メモを書き起こしてくれるアプリもありますが、OCR(光学的文字認識)がかなり不正確なので、まだ使えませんね。
というわけで、興味がある人は一度やってみてください。