顧客にとってのメリット・ベネフィット・プロフィットの違いと具体例

メリット・ベネフィット・プロフィットの違い

ユーザーは価値がない商品を購入しない

今目の前にある商品が売れるかどうかは、その商品がユーザーにとって価値があるかどうかにかかっています。

ユーザーは、1万円の商品にそれ以上の価値があると感じれば購入しますし、それ以下の価値しかないと感じれば購入しません。

では、ここで言う価値とはどのようなことでしょうか。

一般的に、商品に価値があることを「メリット」と言いますが、そのメリットとわたしたちが感じる価値は別物です。わたしたちが商品に対して感じる価値のことを「ベネフィット」と言います。

「ベネフィット?メリットで良いんじゃないの?」

いいえ違います。事業者は商品のメリットを十分に把握し、ユーザーにベネフィットを提供しなければいけないんです。

そして、ユーザーにベネフィットを伝えるためには、メリットとベネフィットの言葉の意味を理解していなければいけません。

そこで今回は、顧客にとってのメリットとベネフィットの違いと具体例についてお話したいと思います。

メリット・ベネフィット・プロフィットの違い

事業者が商品を販売する過程では、メリット、ベネフィット、プロフィットという言葉が使われます。これらの言葉の意味と違いを押さえておきましょう。

メリットとは

マーケティングにおけるメリット(merit)とは、特質や長所という意味です。

日本では、「メリットがある」などの言い方で、特定の人にとっての利益の意味で使うことが多いのですが、本来は良い特徴と訳すものです。

つまり、メリットはユーザーにとっての利益や価値ではなく、ユーザーが手にする商品の特徴と考えましょう。

ベネフィットとは

マーケティングにおけるベネフィット(benefit)とは、恩恵や利益のことです。

ベネフィットの方が、わたしたちが普段使うメリットの意味に近いものです。つまり、ユーザーが商品を購入して得られるのは、メリットではなくベネフィットになります。

プロフィットとは

マーケティングにおけるプロフィット(profit)とは、儲けなど具体的な金銭の利益のことを指します。

つまり、プロフィットという言葉を顧客に対して使うのは、適切ではありません。プロフィットは、事業者が商品を販売して、ユーザーから得るものです。

メリット・ベネフィット・プロフィットの使い方

では、メリット・ベネフィット・プロフィットの意味が理解できたら、実際に使ってみましょう。

メリット・ベネフィット・プロフィットの使い方
・事業者は、ユーザーに対してメリットを持った商品を提供します。
・ユーザーは商品を得ることでベネフィットという価値を感じます。
・ユーザーはベネフィットに対して、事業者にプロフィットを与えます。
メリット・ベネフィット・プロフィットの図説

このように図にするとイメージしやすいと思います。

商品にメリット(良い特徴)があるのは当たり前ですね。メリットとは、「他の商品よりも機能が良い」「他の商品よりも安い」などのことです。

ただし、ユーザーはメリットだけで商品を購入しません。たとえば、「吸収力抜群で3日替えなくても良い大人用おむつ」があったとしても、わたしは購入しません。わたしにとって、ベネフィットがないからです。

「3日間替えなくても一切汚れないパンツ」だったら、買うかもしれません……。旅行に行ったときに、荷物が少なくて済むなどのベネフィットが考えられるからです。

メリット・ベネフィット・プロフィットの反対語

メリットの意味がわかれば、反対語のデメリット(demerit)の意味もわかりますね。デメリットは、「悪い特徴」の意味で使います。

ベネフィットの反対語は、文脈にもよりますが、ユーザーに与える「不利」の意味でディスアドバンテージ(disadvantage)を使います。

プロフィットの反対語は、利益の反対なので「損失、経費」の意味を持つコスト(cost)が一般的でしょう。

メリットとベネフィットの具体例

アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」は世界で2000万台以上販売され、日本でも2018年9月末に累計出荷台数300万台を突破しています。

販売当初は、「敷居の段差がある日本家屋向きじゃない。」「床に置いてある物をどかすのは面倒。」「自分で掃除した方がきれいになるから二度手間。」などの否定的な声がありました。

そんな否定的な意見がある中、なぜこれほどまでに売れたのかというと、ルンバを購入した人はルンバのメリットではなく、ルンバによって得られるベネフィットに価値を感じたからです。

ルンバのメリット

ルンバのメリットは、自走をして勝手に部屋を掃除をしてくれる点です。多少の段差なら乗り越え、ある程度壁際もきれいに掃除できます。

ただ、この機能だけにしか目が行かなければ、前述した「敷居の段差がある日本家屋向きじゃない。」はなんとかクリアできるとしても、「床に置いてある物をどかすのは面倒。」「自分で掃除した方がきれいになるから二度手間。」という点が気になりますね。

ルンバのベネフィット

では、自走をして勝手に部屋を掃除をしてくれるというルンバのメリットが、ユーザーにどのようなベネフィットをもたらすのでしょうか。

掃除にかける時間が圧倒的に減る

ルンバはわたしたちが毎日仕事をしている間に、部屋を掃除してくれます。もちろん、あなたが掃除した方が隅々まできれいになるかもしれません。

でも、あなたは毎日部屋の隅々まで掃除をしますか?

ルンバがあれば、毎日ある程度清潔な部屋が保たれます。あなたは1週間に1度ルンバが掃除できない箇所をササッときれいにするだけの手間で済むため、これまでよりも圧倒的に掃除にかける時間を減らすことができます。

床に物を置く習慣がなくなる

床に物を置いているとルンバの動きは制限されます。そのため、動かせない家具以外はできるだけ物を置かない方が効率良く掃除ができます。

もし、ルンバが毎日掃除をするようになると、わたしたちは床に物を置かないよう気をつけるでしょう。つまり、意識して床に物を置かない生活スタイルに変わっていくんです。

これは、自己規制意識が低下する「割れ窓理論」ですね。ちょっとした意識で、部屋が常にきれいに保たれるようになります。

建物の窓が壊れているのを放置すると、それが「誰も当該地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、犯罪を起こしやすい環境を作り出す。
ゴミのポイ捨てなどの軽犯罪が起きるようになる。
住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなる。それがさらに環境を悪化させる。
凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる。

割れ窓理論 – Wikipedia

年間何十時間も自由な時間が生まれる

「掃除にかける時間が圧倒的に減る」ということは、それだけ自由な時間を得られるということです。わたしたちがもっとも価値を感じるのは時間です。

三陽商会が2019年に行った「母の日に関するアンケート調査」によると、中学生以下の子供を持つ20-40代の母親600人が一番欲しいものは「時間(81.3%)」でした。

母の日に一番欲しいものは時間

母の日に関するアンケート調査を実施。母の日に欲しいもの、1位は「時間」。|株式会社三陽商会のプレスリリース

アイロボットジャパンによると、ルンバ1台が人に代わって掃除をする時間は年間平均144時間だそうです。もちろん、「ルンバの掃除時間=人の掃除時間」ではありませんが、3分の1程度だとしても年間50時間は自由な時間が手に入るわけです。

普段から時間が欲しいと願っているのが、上記の子育て世代の主婦です。もしあなたが同じ立場だとして、ルンバによって年間50時間の自由を得られるとしたら、そこにいくらの価値を付けますか。

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ベネフィットをイメージすることで価値を感じる

「ロボット掃除機は、自動で掃除をしてくれるんですよ!すごいでしょ!」

といくらメリットを謳ったところで、そのメリットが生活にもたらす価値をユーザーがイメージできなければ、ただ機能を紹介したにすぎません。

大切なことは、商品のメリットがユーザーに与えるベネフィットを発見し、ユーザーに具体的なベネフィットをイメージさせることです。

そして、ベネフィットを発見するためには、ターゲットを設定して、ターゲットに基づくマーケティングを行わなければいけません。

つまり、ユーザーのベネフィットが明確な商品とは、具体的なターゲット、つまりペルソナがしっかり設定された商品だということです。

ペルソナのメリット
・理想とする顧客の消費動向を予想できる
・理想とする顧客を関係者で共有できる
・事業の方向性が決まり選択と集中が容易になる
・商品の完成度を高められる
・商品の企画段階で計画書が通りやすい

メリットとベネフィットの理解は、ユーザーに対する広告戦略だけでなく、商品のあり方や今後のマーケティング戦略にも影響を与えます。

とても重要な考え方なので、ぜひ今のうちに理解しておくことをおすすめします。