イノベーター理論の各層に対する戦略は?使い方とインスタの事例

新しい商品・サービスが普及するかどうか

新しく世の中に登場したハイテク商品や最新サービスが、市場に普及する様子を説明した理論を「普及学」と言います。

そして、普及の様子をグラフ化して5段階に分類した考え方を「イノベーター理論」と言います。

イノベーター理論は、マーケティングに興味がないと聞きなれない言葉ですが、新商品を市場に投入したい起業家やマーケターにとっては大切な理論の1つです。

そんなイノベーター理論をインスタグラムを事例にして説明したいと思います。

10-20代中心に広がったインスタグラムは、2018年9月の月間利用者数が2900万を突破しています。日本のインターネット利用者が1億人とすると、月間利用率は29%です。

Instagramの国内月間アクティブアカウント数が2900万を突破、国内のストーリーズ利用に関するデータも発表 | Facebookニュースルーム

では、今後インスタグラムは、さらにユーザーを増やすことができるのでしょうか。

今回のテーマ
今回は、イノベーター理論についてまだよくわからない人ために、次の内容をお話します。

  • イノベーター理論とは何か
  • 新商品・サービスが普及する5つの条件
  • イノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードに対するマーケティング戦略
  • インスタグラムユーザーはまだ増えるか

それでは早速見ていきましょう。

イノベーター理論とは

イノベーター理論(Diffusion of Innovation Theory)とは、スタンフォード大学の社会学者エベレット・M・ロジャース(Everett M. Rogers)が提唱した、新製品や新サービスが市場に普及する様子を説明する理論のことです。

イノベーター理論では、製品やサービスのユーザーになるタイミングの違いで、市場が5つの利用者層に分かれるとしています。

イノベーター理論

Diffusion of Innovation Theory

イノベーター(2.5%)

イノベーター(Innovators)とは、世の中にない新商品や革新的な技術にいち早く反応し、積極的に利用する層のことで、市場の2.5%を占めます。とにかく新規性や革新性が好きなため、商品の良し悪しは二の次です。

たとえば、まだFacebookに買収される前の2010年から、アメリカのApple IDを取得してインスタグラムを利用していた人たちはイノベーターになります。

アーリーアダプター(13.5%)

アーリーアダプター(Early Adopters)とは、トレンドに敏感で、価値がある商品を見つけることが得意な層のことで、市場の13.5%を占めます。情報収集能力だけでなく、情報発信能力も高いため、インフルエンサーの役割をする人です。

2012-2013年にかけて、日本でも徐々にインスタグラムユーザーが増えはじめました。まだFacebookが流行っていたころです。この時期のインスタグラムユーザーはアーリーアダプターですね。

アーリーマジョリティ(34%)

アーリーマジョリティ(Early Majority)とは、アーリーアダプターに影響を受けて新しい商品を取り入れる層のことで、市場の34%を占めます。人に影響されやすく、ミーハー基質な人が多いですね。

2014-2016年は、企業がインスタグラムを使ったイベントを大々的に行うようになりました。徐々に露出も増え、若者の中ではやっていて当たり前の空気が生まれた時期です。

レイトマジョリティ(34%)

レイトマジョリティ(Late Majority)とは、新しい商品の購入は慎重に考え、人から強く勧められたり、自分にとって本当に必要だと思うものでない限り購入しない層のことで、市場の34%を占めます。

2017-2018年は、レイトマジョリティにまでインスタグラムが浸透した時期でした。この時期にインスタグラムを始めた人は、おそらく「インスタ映え」から入った人なのでしょう。

ラガード(16%)

ラガード(Laggards)とは、新商品や新しい技術に興味がない層のことで、市場の16%を占めます。自分には必要がないと考えていたり、あえて購入せずに敬遠している人もいます。

インスタグラムは、まだラガードに浸透する2-3歩手前といったところです。そのため、レイトマジョリティに対するマーケティングを充実させれば、ラガードにまで届くかもしれません。

イノベーションが普及する5つの条件

エベレット・M・ロジャースは、著書の「Diffusion of Innovation」の中で、イノベーション(新商品・新サービス)が普及するためには、以下の5つの条件が必要だとしています。

比較して優れている

20世紀に入って交通手段が馬車から自動車に変わったように、新しい商品のアイデアや技術が従来の商品と比較して優れていなければいけません。

生活に馴染みやすい

わたしたちの生活において、固定電話が携帯電話に変わったことは大きな変化でした。このように個人の生活に馴染みやすく、利便性が高い変化であれば広く受け入れられます。

簡単でわかりやすい

LINEは、現在SNS利用者(メッセージアプリ含む)約7500万人の中で利用率が80%を超えています。これはLINEの使い方が、メッセージのやり取りをするだけのシンプルなツールだからです。

LINEの利用率は80.8%、ICT総研調査 – ケータイ Watch

実験的に試しやすい

実験的に試しやすいとは、高価でなかなか試しづらかったり、一度始めるとやめにくいなどのデメリットがないもののことです。

周囲に影響しやすい

携帯からスマホに変わっていく過程は、電車や街中で日一日感じました。そのため、見た目でスマホの普及度合いがわかり、すべての人に「そろそろ変えようかなぁ。」と思わせることができました。

各層に対するマーケティング戦略

イノベーター理論において、階層が5つに分かれているのは、それぞれの層の特徴が違うためです。商品の普及度がどの段階にあるかで、企業は、マーケティング戦略を変えなければいけません。

イノベーターに対する戦略

イノベーターに対する戦略は、革新的なテクノロジーを使っていることや新しい概念をもたらす商品だとアピールすることです。

一見難しそうに思いますが、初期市場で求められることは目新しさだけです。そのため、これまでにない技術や概念なら、イノベーターから勝手に飛びついてくれます。

アーリーアダプターに対する戦略

アーリーアダプターに対する戦略は、新しいだけでなく次の時代を作ることをイメージさせなければいけません。新しい商品が何をもたらすか、個人よりも市場に対するベネフィットを示すことが大切です。

新しい商品を所有することや利用することが影響力につながると感じれば、アーリーアダプターは熱心に情報を発信してくれます。

アーリーマジョリティに対する戦略

アーリーマジョリティに対する戦略は、アーリーアダプターの発信を後押しする施策やインフラを提供することです。

たとえば、SNSを使ったキャンペーンを行ったり、早期利用者にメリットを提供することで、アーリーアダプターからアーリーマジョリティにつながる架け橋を作ることができます。

ただし一般的には、アーリーアダプターからアーリーマジョリティにつなげることがもっとも難しいと言われています(キャズム理論)。

レイトマジョリティに対する戦略

レイトマジョリティに対する戦略は、商品利用のベネフィットよりも、商品利用によってベネフィットを得ている人が多くいることをアピールしましょう。商品を利用しないともったいないと感じさせなければいけません。

さまざまな企業と連携したイベントを行ったり、大規模な広告展開をするなど、何度も商品を刷り込んで「ザイオンス効果」によって良い印象を与えてください。

ラガードに対する戦略

ラガードに対しては、目新しいマーケティング戦略を取る必要はありません。

アーリーマジョリティ、レイトマジョリティに対して、商品離れが起きないようにフォローを続けることで、ラガードの中から徐々に必要性を感じて、利用者が増える傾向があります。

インスタグラムユーザーはこれ以上増えないと予想

さて冒頭でお話した通り、日本のインスタグラム月間利用率(MAU)は29%で、イノベーター理論で言うとアーリーマジョリティの段階だとわかります。

ただし、SNSの利用者自体が10-30代中心のため、年齢別人口で考えるとインスタグラムの月間利用率は少なくともアーリーマジョリティは超えていると言えます。

つまり、これ以上のユーザーを増やすためには、レイトマジョリティに対して「商品利用によってベネフィットを得ている人が多くいる」「商品を利用しないともったいない」と感じさせなければいけません。

ところが、WEBサービス(とくにSNS)は、mixi、Twitter、Facebookなど、あと一歩のところでレイトマジョリティに浸透しないツールになっていますね。

これは、SNSが面白さやコミュニケーション以上のメリットを感じないからではないかと思います。そのため、個人的な意見としては、インスタグラムもここらで頭打ちではないかなと。

一方、LINEの利用率が80%を超えているのは、普段使いの連絡手段としての地位を獲得し、使わないともったいないと感じるまでになったからだと思います。

こう考えると、イノベーションを起こす新しい商品やサービスがどのような価値を生み出すかで、市場でどれくらい使われるかが予想できるのではないでしょうか。