実は誰でも起こせるイノベーションの意味をわかりやすく解説

わかりやすいイノベーションの解説

イノベーションを起こしたい!

「世の中にイノベーションを起こす!」

最近の若手起業家は、「業界に新しい波を起こしたい!」「今までにないことをやりたい!」「世界中で困っていることを解決したい!」「自分が持っている新しい技術を世の中に広めたい!」などの思いを持って事業に取り組んでいます。

たしかに、事業でイノベーションを起こすには、超未来志向や革新的な技術が必要な気がします。それだけ、イノベーションという言葉には特別なイメージがありますね。

ただ、イノベーションはそれほど特別なものではなく、日本の多くの起業家、事業主、これから起業したい人なら、誰でも起こせる可能性があるんです。

今回のテーマ
今回は、イノベーションを起こしたい人、イノベーションの意味がよくわからない人のために、次の内容をお話します。

  • イノベーションの定義・意味
  • 日本人と英語圏のイノベーションのイメージ
  • 日本でイノベーションが起こりにくい理由

それでは早速見ていきましょう。

イノベーションとは

イノベーション(innovation)とは、既存の物事や環境に新しい発想を取り入れることで、事業や社会生活に良い意味の大きな変化をもたらすことを言います。

もともとは、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)が、著書の「経済発展の理論(Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung)」で提唱した新結合という概念が元になった考え方です。

シュンペーターは著書で、経済発展をするためには「イノベーション」、イノベーションを起こす「企業」、企業の信用を担保する「銀行」の3つの要素が必要だとしています。

また、シュンペーターは、イノベーションの種類を以下のように定義しています。

イノベーションの種類
プロダクト・イノベーション|未知または新しい品質の物資の生産
プロセス・イノベーション|新しい生産方法の導入
マーケット・イノベーション|新しい市場や販路の開拓
サプライチェーン・イノベーション|新しい資源や物流の開発
組織イノベーション|新しい組織の実現

この5つのどれかにおいて、新しい発想が取り入れられ、大きな変化が起きることがイノベーションです。

日本人のイノベーションに対する勘違い

日本人が持つイノベーションのイメージ

innovationの日本語訳は、「革新」や「刷新」です。革新とは、新しく革める(あらためる)こと、つまり新しく変わることを意味します。

ところが、調べるとわかりますが、innovationを「技術革新」と訳している辞書がいくつかあります。また、「イノベーション=技術革新」だと教えている本や資料もあります。

そのため、冒頭で話した通り、イノベーションを起こすためには、これまでにない革新的な技術が必要だと認識している日本人が多く存在しています。

ただ、前述した通り、シュンペーターのイノベーションの5つの種類を見ても、技術に特化した定義はされていません。

英語圏の人が持つイノベーションのイメージ

ちなみに、innovateという動詞には、(新しい物事を)採り入れる、導入するという意味があります。そのため、innovationには、「新しく採り入れたもの」という意味もあります。

ビジネスにおけるinnovationには、革新という意味もありますが、どちらかというと「新しく採り入れたもの」という意味が合致する方が多いのではないかと思います。

その証拠に、英語でinnovationの意味を調べてみると、「新しいアイデアや方法、または新しいアイデアや方法の使用」という意味で使われています。

INNOVATION | meaning in the Cambridge English Dictionary

アナログでも通用するイノベーションの事例

たとえば、トヨタのかんばん方式(ジャストインタイム生産システム)は、これまで他の国にはない発想で行われていたため、世界中の国で取り入れられた生産方式です。

かんばん方式とは
かんばん方式とは、必要なものを必要な時に必要なだけ作って運び、各部品の大幅な生産量のズレが出ないようにした生産方式のことです。

かんばん方式は、とくに革新的な技術が必要なわけではありません。たとえアナログ管理でも、今までよりも無駄が少ない生産体制を作ることができます。

つまり、かんばん方式は、「プロセス・イノベーション」にあたるイノベーションであり、世界中の生産ラインにとって、大きな変化とインパクトを与えたものだったわけです。

日本でイノベーションが起こりにくい理由

日本でイノベーションが起こりにくい理由は、ベンチャー企業に対するVCやCVCからの投資、金融機関からの融資が適切に行われていないためです。こちらはまた別途話したいと思います。

もう1つは、日本はイノベーションのジレンマが起きやすい環境だからです。

イノベーションのジレンマとは

イノベーションのジレンマとは、経済合理性の観点から既存顧客のニーズを叶える動きをとり続けることで、破壊的イノベーションを起こすことができず、新興企業にシェアを奪われてしまうことです。

もっともわかりやすいのは、従来の携帯電話とスマホの関係ですね。

従来の携帯電話全盛のころは、メール機能が付き、iモードが実装され、カメラ機能や画面のカラー化など、ユーザーが望む機能がどんどん付加され、新機種が登場するたびにユーザーはワクワクしていました。

そんなときにiPhoneが登場しました。当初のiPhoneは片手で持つには大きく、1つ1つの機能は、従来の携帯電話に敵わなかったため、支持しない人も多くいました。

ただ、従来の携帯電話とiPhoneなどのスマホは、概念が異なる商品でした。従来の携帯電話が独立した商品であることに対し、スマホはWEBの入り口としてPCが融合した役割を担うデバイスとして、ユーザーの生活を少しずつ変えていきました。

日本のメーカーは、新しい概念を持つデバイスに目を向けず、まだユーザーの支持を得られる従来の携帯電話の機能を上げることに注力しました。しばらくの間、新しい市場への投資を怠ったわけです。

それから数年……スマホがどんどん増えていく中で、日本のメーカーは指を咥えていることしかできなくなり、そのうち日本の従来の携帯電話は独自の機能盛り込みすぎなガラケーなどと揶揄されるようになってしまいました。

さて、なぜ日本でイノベーションのジレンマが起きやすいかと言うと、複合的ですが、大企業が強すぎる、スタートアップが少なすぎる、英語を話す必要がない、投資家が少なすぎる、保守的な人が多すぎるなどが考えられます。

これは、大企業だけの問題ではありません。日本人は、将来よりも目の前の最新技術の方に興味が向きがちで、目の前のユーザー満足にとらわれがちな国民性なのです。

イノベーションのイメージを変えよう

オーストリア人経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)は、「企業は2つの基本的な機能を持つ。それが、マーケティングとイノベーションだ。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらし、それ以外は企業にとってコストでしかない。」と述べています。

ドラッカーは、企業とは市場に対して新しいことを行い(イノベーション)、企業活動(マーケティング)に勤しむ存在だと定義しています。

そのため、イノベーションは、日本人が思っている以上に、幅広く気軽に使っても良い用語だということです。

アメリカのビジネスリーダーは、イノベーションをよく使います。わたしたちは、それを技術革新という意味で捉えてしまうため、「ビジネスには未知で最新の技術が必要だ!」と勘違いしているのです。

本来は、「ビジネスには新しアイデアが必要だ!」くらいの意味で考えた方が良いのでしょう。

限られた狭い分野でも構いません。ちょっとしたアイデアでも構いません。なにか新しい発想で、今までの常識を変えられるなら、それはイノベーションと言えます。

もし今後起業を考えているなら、今まで勘違いしていたイノベーションの概念にとらわれずに、小さな変化、小さな挑戦から取り組んでいく癖をつけていくようにしましょう。