5分で理解するフェルミ推定 マンホールの蓋はいくつある?

フェルミ推定とは

「東京都内にあるマンホールの蓋の枚数は?」→「知りません。」
「スクールバスにゴルフボールは何個入るか?」→「わかりません。」

フェルミ推定とは

「不合格です!」

これは、Googleの面接試験などで有名になった問題です。

一見、絶対に回答が出せないような難しい問題に対して、回答を導き出す考え方のことを「フェルミ推定(Fermi estimate)」と言います。

フェルミ推定(フェルミすいてい、Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。

フェルミ推定 – Wikipedia

フェルミ推定では、回答よりも回答を導き出す考え方が重視されます。

回答することが困難な解を導き出すために、文字通り推定するわけですが、とにかく数値を仮置きしていき、最終的にそれっぽい答えが出せればOKです。

フェルミ推定でよくある例題

フェルミ推定の例題としてよく見かけるのは、「スクールバスにゴルフボールはいくつ入るか?」「日本にあるマンホールの数はいくつか?」「日本にある電柱の数は何本か?」「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?」などです。

以下は、ピアノの調律師の例題です。

この問題に対して、たとえば次のように概算することができる。
まず以下のデータを仮定する。

  1. シカゴの人口は300万人とする
  2. シカゴでは、1世帯あたりの人数が平均3人程度とする
  3. 10世帯に1台の割合でピアノを保有している世帯があるとする
  4. ピアノ1台の調律は平均して1年に1回行うとする
  5. 調律師が1日に調律するピアノの台数は3つとする
  6. 週休二日とし、調律師は年間に約250日働くとする

そして、これらの仮定を元に次のように推論する。

  1. シカゴの世帯数は、(300万/3)=100万世帯程度
  2. シカゴでのピアノの総数は、(100万/10)=10万台程度
  3. ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
  4. それに対し、(1人の)ピアノの調律師は1年間に250×3=750台程度を調律する
  5. よって調律師の人数は10万/750=130人程度と推定される

細谷功 『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』 41p、東洋経済新報社、2007年

フェルミ推定の考え方とポイント

フェルミ推定を実践するためには、考え方とコツが必要です。

重要なことは、推定内容にどのような条件があるかピックアップすること、その条件に対して数値を仮置きすること、条件と数値を用いて論理の道筋を立てることです。

さらに、フェルミ推定を活用するためには、自分に都合の良い条件や数値が仮置きされていないか見直すことも重要だと思います。

推定内容の条件をピックアップする

フェルミ推定を使いこなすには、推定内容の条件をピックアップすることがもっとも大切です。

ある程度慣れは必要ですが、普段の仕事でも目的到達のために必要な条件を洗い出す行為を自然に行なっている人も多いはずです。

条件に対して数値を仮置きする

ピックアップした条件に対して、数値を仮置きします。ここで言う仮置きとは、ある程度当たりをつけた数値を当てはめること、つまり数値の予想です。

ところが、当たりをつけた数値を仮置きするためには、ある程度の知識が必要です。

たとえば、前述したピアノの調律師の事例で、シカゴの人口が3000万人と置いてしまうと、最終的に導き出したい数値にかすりもしなくなります。

ここで予想がずれるのは、ある程度は仕方がないかなと思います。

条件と仮置きの数値で論理を組み立てる

ピックアップした条件と仮置きした数値から、論理立てて解を導き出します。

導き出す解が、仮定と予想の組み合わせなので、混乱しないようにメモを取りながらアウトプットした方が良いかもしれません。

フェルミ推定が重要だと言える理由

フェルミ推定は、必ずしも正しい解を導き出せるわけではありません。では必要がない考え方かというと、そうではありません。フェルミ推定は、論理的思考力を高めるために必要な思考法です。

新しいマーケティングロジックを導き出すため、戦略に対するリスクヘッジをするためなど、ビジネスにおいては重要な能力です。

フェルミ推定が導き出すマーケティングロジックとは

もしあなたの会社がピアノ調律師の専門学校を運営していて、優秀な講師が故郷のシカゴに帰らなければいけなくなったとします。

彼は、あなたにこう言いました。「モシーモ、ブンシャカシテクレータラ、ワターシシカーゴデ、ガッコヤリタイデース。」と。

フェルミ推定

このように、シカゴに事業展開をするかしないかを迫られた時に考えることは、「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師が必要か?」です。

上記事例で書いてある通り、「調律師の人数は10万/750=130人程度と推定される」ということを導き出さない限り、次に考えなければいけない

  • 現在ピアノ調律師が不足しているのか
  • 今後ピアノ調律師の需要が存在するのか
  • ピアノ調律師を育てるための専門学校がどれくらいあるのか
  • その専門学校は採算が合っているのか

という内容にさえ行き着かないでしょう。

どんな商品販売やサービス展開も、進めるためにはさまざまな条件が絡みます。必要と仮定した条件をピックアップして、数値を1つ1つ仮置きしていくと、今までわからなかったことが見えてきます。

条件に対する数値は、調べて当たりが付く場合もあれば、そうでない場合もあります。ただ、わからない場合でも、仮置きして1つずつ検証していくことが大切です。

クロスワードパズルを解くときも、ひとつのヒントに固執しないで、言葉を仮置きしていきますよね。

フェルミ推定の注意点

都合の良い条件や数値がないか見直す

フェルミ推定で解を導き出した後の注意点として、前述した通り「自分に都合の良い条件や数値が仮置きされていないか見直すこと」も忘れないでください。

フェルミ推定は、仮定と予想の組み合わせなので、「こうであればいいのに……。」という条件や数値を1つ入れるだけで、全体の推定(=ロジック)が大きくズレてしまいます。

もし、都合の良い条件や数値を発見した場合は、「なぜそのような条件が出てきたか」をさらにいくつかの条件で推定して、ロジックを強固なものに仕上げていきます。

そうやって難解な問題に対して、ブレの少ない回答を導き出します。

採用試験対策には数値の詰め込みが必要

もし「採用試験対策でフェルミ推定が必要だ。」という人は、ある程度の知識を詰め込んでおく必要があります。たとえば、以下の数値を、ざっくり頭に入れておきましょう。

Holy (K)night 【採用試験】 フェルミ推定で覚えておきたい数値

まぁ、このフェルミ推定を手掛かりもつかめない面接の場で出題することは間違っている、というか意味がないように感じますが……。

フェルミ推定で論理的思考力を高めよう

フェルミ推定で導かれる解は、「あくまでも推定」でしかありません。

過去の資料を漁ったり、ネットで調べればわかる数値やロジックは、そもそも推定する必要はありませんし、人に聞いてわかるなら、直接聞いた方が良いに決まっています。

そのため、採用試験対策というよりは、普段の論理的思考力を深めるために、フェルミ推定を意識することをおすすめします。

というわけで、

仕事で、「新しく考えたこの商品はいくらくらい売れるのかなー?」そう思ったらフェルミ推定!
夜空を見上げながら、「星っていくつあるんだろう…」と思ったらフェルミ推定!
ふとテレビを見て、「石油資源っていつまで続くんだろう?」と思ったらフェルミ推定!

このように、いろいろ考えてみると面白いです。以下も興味があればどうぞ。