風が吹けば桶屋が儲かるの意味は?儲かる確率を計算してみる

風が吹けば桶屋が儲かる

「風が吹けば桶屋が儲かる」を考えてみる

「風が吹けば桶屋が儲かる(かぜがふけばおけやがもうかる)」とは、昔からある日本のことわざです。似た意味の言葉に「バタフライ効果」というものがあります。

もちろん、「風が吹けば桶屋が儲かる」は誰でも聞いたことがあると思いますし、意味もなんとなく知っているでしょう。

では、なぜ風が吹いたら、桶屋が儲かることになるのでしょうか。そこに、どんな論理があるのでしょうか。

今回は、「風が吹けば桶屋が儲かる」と「バタフライ効果」の意味、また風が吹いたらどれ位桶屋が儲かるのかを計算してみたいと思います。

風が吹けば桶屋が儲かるとバタフライ効果は意味が違う

前述した通り、「風が吹けば桶屋が儲かる」と「バタフライ効果」は、意味が似ていると考えている人は多いと思います。

バタフライ効果とは

バタフライ効果(バタフライエフェクト)とは、マサチューセッツ工科大学の気象学者エドワード・ローレンツ(Edward Norton Lorenz)が、ある公演で話した理論の一つで、意味は下記の通りです。

バタフライ効果(バタフライこうか、butterfly effect)とは、カオス力学系において、通常なら無視できると思われるような極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象のことを指す。カオス理論を端的に表現した思考実験のひとつ、あるいは比喩である。

バタフライ効果 – Wikipedia

極端な例としては、「ブラジルで蝶が羽ばたいたことで、テキサスでトルネードが起こるかも知れない!」というように、ちょっとしたことが予測不可能な現象につながる「カオス理論」を表現した言葉です。

まぁ、一般相対性理論とか特殊相対性理論とかウラシマ効果なども関係があるので、興味がある人は調べてみて下さい。わたしには説明できません。

風が吹けば桶屋が儲かるの意味と使い方

風が吹けば桶屋が儲かるはバタフライ効果とは違って、いつできた言葉なのか、誰が言った言葉なのか由来はわかっていません。

そしてその意味ですが、風が吹いてから桶屋が儲かるまでの順序があって、それぞれの理由もあります。以下流れです。

1.大風で土ぼこりが立つ
 2.土ぼこりが目に入って、盲人が増える
 3.盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
 4.三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
 5.ネコが減ればネズミが増える
 6.ネズミは桶を囓る
 7.桶の需要が増え桶屋が儲かる

風が吹けば桶屋が儲かる – Wikipedia

以上の説明を見ると、何となくわかる気はします。

私たちは、商品やサービスのマーケティングを行う際、売上や利益を予測します。

ターゲットの数、市場性、広告認知度などの項目をピックアップし、それぞれの項目を数値化して、費用対効果を見極めようとします。

無理矢理感が強いこの「風が吹けば桶屋が儲かる」も、一つひとつの事象の確率が計測できれば、風が吹いたときにどのくらい儲けが出るのかを予測できるかもしれません(と、考えてみます)。

風が吹けば桶屋が儲かる確率はどれくらい?

では、風が吹けば桶屋が儲かる確率は、いったいどれくらいなのでしょう。

こんなことを真面目に論じている本があります。確率統計を面白く学ぶための本とのことです。読んではいません。

丸山 健夫 (著)
「風が吹けば桶屋が儲かる」のは0.8%!? 身近なケースで学ぶ確率・統計 PHP新書

「風が吹けば桶屋が儲かる」のは0.8%!? 身近なケースで学ぶ確率・統計 PHP新書

こういうものは楽しむものなので、一応考え方だけ記載すると……

1つの事象の確率を仮に1.0%として考えます(本当は1つ1つがバラバラなのですが)。

事象が7つあるので、「1.0%(0.01)の7乗 = 1e-14」となります。

つまり、0.00000000000001です。同様の事象が起こったときに、10兆回に1回だけ「風が吹けば桶屋が儲かる」が成立します。

この数字だけでは、単純に「風が吹けば桶屋が儲かる」がありえない話になってしまうので、もう少し掘り下げて考えてみます。

風が吹けば桶屋が儲かる確率を推計してみる

1.大風で土ぼこりが立つ確率→0.1(10日に1日)
2.土ぼこりが目に入って、盲人が増える確率→0.001(1000人に1人)
3.盲人が三味線を買う確率→0.01(100人に1人)
4.三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される確率→1(1匹に1匹)
5.ネコが減ればネズミが増える確率→0.5(2回に1回)
6.ネズミは桶を囓る確率→1(1回に1回)
7.桶の需要が増え桶屋が儲かる確率→1(1回に1回)

0.1×0.001×0.01×1×0.5×1×1 = 0.0000002

上記1-7の経路をたどると、1000万回のうち2回は桶屋が儲かるようです。

ちなみに1年365日のうち、大風が吹いて土ぼこりが立つ日を36.5日と仮置きしています(多い!)。

大風が1000万回吹くまでには約136,986年かかり、そのうち2回が儲かる……と。もちろん、儲かる金額が100円なのか、1億円なのかは定義がまったく別の話です。

この計算では「風が吹けば桶屋が儲かる」で儲けを出そうというのは、難しいこととして片付けるのが良いようです。

風が吹けば桶屋が儲かるの考え方をマーケティングに活かす場合

極端な例はおいといて、前述した通り、マーケティングを行う際もさまざまな数字を掛けあわせて「いける可能性はどれくらいなの?」を導き出します。

調べれば比較的簡単にさまざまな数値が取得・算出できるようになった世の中で、肌感覚だけで丁半博打の商売を行ってはいけません。

ソフトバンクの孫正義社長の有名な言葉に、「勝ち目が70%あるなら勝負する。70%の勝負を2回して両方とも負ける可能性は9%に過ぎない。」というものがあります。

ここで重要なことは、70%の勝負ができることです。

もちろん正確な数字ではないと思いますが、あらゆるデータから、マーケティングが7割の確率でうまくいくという要素を発見、または確率を引き上げる方法を駆使して勝負に挑むのでしょう。

もし、大風を人工的に起こせたら?
三味線がトレンドだということを浸透できたら?
桶の材質をネズミが好むものに変えることができたら?

「風が吹けば桶屋が儲かる」の確率は、どんどん上がっていくかもしれません。

ターゲットをちゃんと特定できたら?
この商品に1つだけ機能をつけたら?
このタイミングでこのくらいまで認知度を上げることができたら?

マーケティングが成功する確率をぐっと上げることができるかもしれません。

風が吹いても桶屋が儲からないなら儲かる方法を考えよう

マーケティングの成功確率を上げたいなら、一つひとつの事象を見直すことだけがうまくいく方法ではありません。

ゴールに到達する方法は、ひとつに限定する必要はないのです。

風が吹いた時に儲かるまでの経路を100個作れば、単純に儲けは100倍になります。

1つの経路の儲けが10万円ならば、100個で1,000万円です。

その分コストは掛かりますが、一つひとつの費用対効果が割に合うならやる価値はあるでしょう。

月1,000円儲かるアフィリエイトサイトを、コピペで1,000個つくるようなものですね。

その上で、すべての経路の各事象をもう一度見直すと、効果が何倍にも高まります。

風が吹いても桶屋が儲かる確率が低いのであれば、桶屋が儲かる他の経路も導き出せば良いわけです。

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