ビジネスノウハウに特化したU-NOTEの強みと次に見据えるステージ

ビジネスノウハウに特化したU-NOTE

各種キュレーションサービスの中でU-NOTEの立ち位置は

近年、NAVERまとめやnanapi、またニュースアプリのGunosy、SmartNews、vingowなど、キュレーションを目的としたサービスが人気となっています。

こういったサービスの一部は、多くの資金調達を実施しています。とりわけ、億単位の資金調達を行えた企業が、ファンドから大きな期待を寄せられていることは想像に難くありません。

2013年12月に数千万円(金額は非公表)の資金を調達した「U-NOTE」も、それらに次ぐ新しいキュレーションサービスであることは間違いないでしょう。

U-NOTE」はキュレーションサービスの中でも、専門分野を設けた特化型キュレーションサービスと言えます。「ビジネスマンのためのノウハウまとめ」という副題を置き、ビジネス分野でのnanapiの立ち位置を築いていくのが彼らの狙いです。

 現在は、IT系イベントからビジネスに関するノウハウ、また書籍の売り上げランキングといったコンテンツを掲載。ユーザーは20代から30代前半の男性が8割程度だという。ページビュー(PV)などは非公開だが、この6カ月間、毎月40%以上成長している状況だという。「今は記事本数をどれだけつくるかが指標となっている。ビジネスマンの成功体験など、ストック型のコンテンツが多いため、1年前の記事でも読まれている」(U-NOTE代表取締役の小出悠人氏)。コンテンツはKDDIが提供するアプリ「auスマートパス タイムライン」にも掲載されている。

参考:
ビジネスノウハウまとめメディア運営のU-NOTE、ベンチャーユナイテッドとANRIから資金を調達

U-NOTE」は現在のところ、ビジネスに関するノウハウをまとめて、それをユーザーにみてもらうという単純な1メディアの役割を担っています。

しかしそれだけでは、このプレイヤーが多数いる分野で生き残っていくのは難しいでしょう。もちろん、ファンドが期待を寄せるだけの何かがあるはずです。

というわけで、今後「U-NOTE」に期待する展開方法と、今持っている強みと思えるものを考えていきます。

ビジネスノウハウまとめメディアU-NOTEのビジネスモデル前身

U-NOTE」は元からこのようなビジネスノウハウまとめを取り扱うビジネスモデルではありませんでした。

元々は、代表である小出氏が在学中に、大学生向けのノート共有サービスとしてスタートしました。その後、サービス内容をピボットして、主にイベントやセミナー・講演会の内容をWEB上のノートにまとめて共有するというプラットフォームを展開していきます。

もちろんサービス名は「U-NOTE」。

そして、2012年12月、artyfactory、VOYAGE VENTURES、MOVIDA JAPANの3社から総額1100万円の資金を調達しています。

この小出氏は、まるで亀梨くんのように美少年ですね。

ユーノート小出氏

その後、イベント、セミナー情報をまとめていく傍ら、ビジネスのノウハウが非常にまとめやすく、蓄積も容易であることから、ビジネスノウハウに特化したまとめサイトとしての体を成していくことになります。

U-NOTEが持つ4つの強み

U-NOTEが持つ強み01

数度のピボットを繰り返し、紆余曲折がありながらも「U-NOTE」は現在の強みを活かしたサービスを展開していく事ができるようになりました。

では、「U-NOTE」の強みとはいったい何でしょう。

U-NOTEが持つ強み1.ビジネス(仕事に関連する)ノウハウに特化している

一番の強みは何でもかんでもまとめているわけではないという点です。

NAVERまとめの特徴は、ユーザー自身が「まとめたいと思ったもの」をまとめていますし、Gunosy、SmartNews、vingowなどは「個人の趣味趣向に合わせて自動でキュレーションしてくれる」という特徴を持っています。

U-NOTE」は、敢えて自分たちで専門分野に絞り込み、「ここに来ればビジネスに関するノウハウはすべて揃っている」というサービスの立ち位置を作ろうとしています。

通常、情報はすべて発信当初が新鮮で、須らく陳腐化していきます。もちろん、ビジネス分野もその通りなのですが、他の分野に比べて情報が陳腐化しにくい、という特徴を持っています。

たとえば、ビジネスマナーやネクタイの結び方、プレゼンの仕方、確定申告の仕方など、多少形は変えても10年、20年、そのノウハウは変わりません。常に必要な情報です。

U-NOTEが持つ強み02

U-NOTEが持つ強み2.利用ユーザーはなりふり構わず面で取りに行く

U-NOTE」は自分たちでノウハウ記事を作成しています。10名以上のスタッフが、日々記事を書き続けています。これには2つの意味があります。

1つは専門分野の特化からなるべく外れないようにするためです。先述した通り、ビジネスにおける必要な情報は年数が経過しても、廃れにくい特徴があります。そのため、一度書いた情報はストックされて、何年も使うことが可能になります。

蓄積できる情報は、それだけで資産になります。さらに、情報の角度を変えるだけでユーザビリティが高まり、より価値が上がることも考えられます。

これがビジネスノウハウという専門分野からはずれてしまうと、陳腐化してしまう情報に労力を裂き、使い回しによるユーザビリティの向上にも力を注ぐことができなくなってしまいます。

もう1つが、SEOでユーザーを獲得しに行くためです。「U-NOTE」はWEBから始まっていますので、検索エンジンの評価が非常に重要になります。

仕事に関するちょっとしたことを知りたいな、と思って検索をした時に必ず1番に「U-NOTE」を表示させるためには、圧倒的な物量が必要になります。

そのため、今のところは内部で記事を大量生産する方が、生産性も高く、管理面においても効率が良い、ということなります。

U-NOTEが持つ強み3.ノウハウとしてのストーリーを持たせている

当たり前の事ですが、ノウハウとはある事柄に対する方法、やり方を示したものです。NAVERまとめなどを見ていると、ある事柄に対してのまとめが箇条書きにされているものを見かけます。

ところが、私達が何らかのノウハウを知りたいとき、それは単に箇条書された回答を見たいのではなく、覚えたい、学びたい事のほうが多いでしょう。特にビジネスノウハウに置いては、箇条書きにされても頭のなかにはなかなか残りません。

U-NOTE」では、すべての記事がストーリーを持って記されています。確かに箇条書きよりも、記事として残していく方が面倒でコストがかかります。

ただ、前述した通り、ビジネスノウハウは廃れにくい特性を持っているため、他の分野でストーリーを持った記事を書くよりも費用対効果が高く、手間がかかる方法を取るだけの十分なメリットを持っていると考えられます。

U-NOTEが持つ強み4.すでにファンドからの出資を受けている

これはビジネスモデルとは違いますが、2と3を実現させるためには必要不可欠な要素になります。

小出氏も今回の資金調達を明確にコンテンツの充実と置いていることから、ファンドとの2人3脚体制も十分なのでしょう。他社の追随がある前に、物量勝負に持ち込むことが可能です。

U-NOTEが将来に見据えるものとは

U-NOTEが将来に見据えるもの

U-NOTE」は今後どのようにマネタイズを行っていくのでしょうか。また、将来見据えているものは何でしょうか。

マネタイズに関しては、「まだコンテンツを貯める時期。どんな情報をどう作ってどう届けるか、見せ方を考えていかないといけない」(小出氏)とのことだが、すでに記事広告なども開始している。「たとえば『●●社の語る営業ノウハウ』といった形でストック型のコンテンツを作り、当該サイトに誘導している。我々としても公式コンテンツが増えることになる。読者は記事に『PR』と付こうが付くまいが、面白ければ読んでくれる」(小出氏)。広告企画を中心にした収益で、単月黒字化を達成する月も増えているという。

現在行っているマネタイズは、企業による広告となっています。恐らくサイト全体で数百万PVと思われる記事量になっていますし、分野が絞れているため、広告出稿を募ることはそこまで難しいことではないはずです。

しかし、単純な企業の広告出稿だけでは、「メディアではない」と言い切る小出氏の思惑とは異なるはずです。

そこで、将来展望として何が考えられるのかですが、

・個人に対するビジネスコンシェルジュとしての役割

現在、Facebook、Twitterでのユーザー登録は実現していますが、その役割は記事やライターベースでのブックマークが主です。自分で見つけて、自分で選択する以外ありません。

今後、ノウハウ量が十分に確保された場合、検索から「U-NOTE」のノウハウを見つけた過程を追うことで、個人の趣向に基づいたコンシェルジュ的な役割を果たせる可能性があります。

登録したユーザーの仕事やフォローするライターの傾向など、個人の趣向を見出すための情報を集めることは、ユーザー母数を抱えてしまえば可能です。

仕事で行き詰まった際に、「U-NOTE」が適切なアドバイスをしてくれる尊敬できる上司の役割を果たしてくれるのであれば、個人が十分にお金を払う価値はあるでしょう。

・企業に対する情報提供の役割

仮に「U-NOTE」が今後どれだけ大きくサービスを発展させたとしても、すべてのインターネットユーザーを囲い込むことは不可能です。

であれば、その情報を企業に提供していくことは可能なはずです。ユーザーがビジネスに求める情報の傾向さえわかっていれば、ある企業に対して、その企業が囲い込んでいる顧客、またはターゲットとなる人達が満足するための情報を提供することは難しくないはずです。

イメージとしては、OKWaveが教えてgoo!などに横展開していることと似ています。少しわかりにくいかもしれませんが…。

専門分野に特化した情報蓄積サービス

今はまだ、発展途上である「U-NOTE」ですが、不変な情報を蓄積しやすいビジネス分野を選んで、物量を投下するこの手法は、個人的には将来を見据えたうまいやり方に見えています。

今後、このように専門分野に特化した情報の蓄積サービスは増えていくことになると思いますが、ビジネスノウハウ分野に関しては、「U-NOTE」が一歩も二歩もリード、といったところでしょうか。

参考になったらSNSでシェアをお願いしますm(_ _)m