目次 ▼
検索流入を確実に増やしていく方法
検索流入を確実に増やしていき、WEBサイトを成長させる戦略があります。それは、「ビッグワード」「ミドルワード」「スモールワード」を意識してページを増やしていくことです。
言葉の詳細説明は以下でしていますが、簡単に言うと月間検索ボリュームが1万以上あるキーワードをビッグワード、1000-1万をミドルワード、1000未満をスモールワードと言います。
WEBページの作成で大切なことは、ページにスモールワードを設定した「ロングテールSEO」を心がけることです。
WEBページにビッグワードを設定すると、競合が多く上位表示が難しいだけでなく、順位が不安定になることでKPIも不安定になります。
ロングテールSEOを行えば、上位表示を狙えて順位が安定するだけではなく、WEBサイトのコンバージョンを高めることができます。
- ロングテールSEOとロングテールキーワードの説明
- ロングテールSEOのメリット・デメリット
- 具体的なロングテールSEOのやり方
それでは早速見ていきましょう。
ロングテールSEOとは
ロングテールSEOとは、月間検索ボリュームの多いキーワードでアクセスを集めるサイト作りはせずに、月間検索ボリュームの少ないロングテールキーワードに絞ったページを作ってサイト評価を高め、安定した集客をするSEO対策のことです。
つまり、ピンポイントで効果が高いWEBページを作るのではなく、たくさんのWEBページを作ってSEOの成果を上げる方法です。
ロングテールの法則とパレートの法則
ロングテールSEOは、ロングテールの法則をSEOに応用した考えで、パレートの法則でいう80%の構成要素に着目したものです。
日本では、菅谷義博著「80対20の法則を覆す ロングテールの法則(2006年)」で話題になり、クリス・アンダーソン著「ロングテール(2014年)」で広く浸透しました。
ロングテールキーワードとは
ロングテールSEOを実践するには、冒頭で話した「ビッグワード」「ミドルワード」「スモールワード」の特徴を理解する必要があります。
WEBページ作成の基本はスモールワードを設定することですが、このスモールワードは、ロングテールSEOの手法において「ロングテールキーワード」や「ニッチキーワード」と呼ばれます。
以下の表では、ロングテールキーワードの語数を3語以上としていますが、2語でもニッチであればロングテールキーワードと考えます。
種類 | 語数 | 検索ボリューム |
---|---|---|
ビッグキーワード | 1語 | 10000以上 |
ミドルキーワード | 2語以上 | 1000以上10000未満 |
スモールキーワード | 2語以上 | 1000未満 |
ロングテールキーワード | 3語以上 | 1000未満 |
ロングテールSEOのメリットとデメリット
WEBサイトへの検索流入をビッグワード、ミドルワード、スモールワードで分けると以下のようになります。

この図のビッグワード、ミドルワードの部分は「ヘッド」、スモールワード(ロングテールキーワード)の部分を「テール」と言います。
テールが長いのでロングテールです。本来、テールはこの何倍も長いものだと考えてください。
ロングテールSEOのメリット
ロングテールSEOのメリットは、競合が少ないロングテールキーワードを使うことで、ページを検索上位に表示させやすくすることです。
また、ビッグワードの「ダイエット」に比べて、「ダイエット サプリ 通販」のようにページテーマが絞り込まれるため、ユーザーの目的が明確になり、結果的にコンバージョン率を上げやすいメリットもあります。
ロングテールSEOのデメリット
ロングテールSEOのデメリットは、月間検索ボリュームが低いキーワードを使うため、多くのWEBページを作る労力が必要なことです。
たとえば、月間検索ボリュームが45万以上の「ダイエット」で1位になると、そのキーワードだけで10万ほどの検索流入が見込めます。
ところが、月間検索ボリュームが110の「ダイエット サプリ 通販」で1位になっても、そのキーワードだけでは20ほどの検索流入しか見込めません。
そのため、やはりページを作るコスト増を嫌って、ビッグワードを狙ったWEBサイトづくりをしたいと考える人もいます。
検索流入でロングテールキワードが占める割合は?
では、本当にロングテールキーワードを使った方がWEBサイトにメリットがあるのか、確かめてみましょう。
サーチコンソールからこのサイトの1か月分の検索クエリを以下のように抜き出し、全体のクエリのうちスモールワードが占める割合やクリック数(検索流入数)を確かめてみます。

ただし、サーチコンソールで取得できる検索クエリは最大1000個までなので、クリック数が少ないクエリはある程度カットされて、クエリ数が少なくなります。
そのため、ロングテールキーワードも本来より少なくなります。今回の分析では、7クリック以下の検索クエリは含まれていません。
検索語数別のクリック数の割合
まず、いくつの語数で検索されているかで、それぞれのクリック数の割合を見てみます。
複合語 | 個数 | クリック数 | 割合 |
---|---|---|---|
6語 | 1 | 179 | 0.53% |
5語 | 3 | 76 | 0.22% |
4語 | 23 | 437 | 1.28% |
3語 | 220 | 8266 | 24.29% |
2語 | 413 | 11645 | 34.22% |
1語 | 340 | 13430 | 39.46% |
合計 | 1000 | 34033 | 100.00% |
1000クエリのうち、1語検索が340個でクリック数の割合が39.46%、2語検索が413個でクリック数の割合が34.22%、3語以上が247個でクリック数の割合が6.32%でした。
1語検索が多いため、ビッグワード、ミドルワードの割合が多いように感じますが、1語の中には「知り合いかもに表示されたくない」「早く本を読む方法」などの文章や、スペースを使わずに単語を連結させたクエリが多く含まれていました。
表示回数別のクリック数の割合
次に、インプレッション(表示回数)で分けて、それぞれのクリック数の割合を見てみます。
表示回数 | 個数 | クリック数 | 割合 |
---|---|---|---|
1万以上 | 7 | 6743 | 19.81% |
1000以上 1万未満 | 53 | 4064 | 11.94% |
1000未満 | 940 | 23226 | 68.25% |
合計 | 1000 | 34033 | 100.00% |
1000クエリのうち、表示回数1万以上は7個でクリック数の割合が19.81%、表示回数1000-1万のクエリは53個でクリック数の割合が11.94%、表示回数1000未満のクエリは940個でクリック数の割合が68.25%でした。
もちろん、月間検索ボリュームと表示回数はイコールではありませんが、表示回数が1000未満の検索クエリが検索流入の7割近くを生み出していることは、ロングテールSEOを証明する結果の1つだと言えるでしょう。
しかも、7クリック以下の検索クエリは除外してこの結果です。
検索クエリの表示回数、クリック数、クリック率、順位
こちらは、あるページの検索クエリの表示回数、クリック数、クリック率、順位の表です。

表示回数がもっとも多い「A+B」は、7026回表示されてクリック数が22です。平均順位も9.6で、けっして悪い順位ではありません。
対して、「A+B+C」の表示回数は1000しかありません。ところが、平均順位が1位のため、クリック数が613で「A+B」の30倍近くもあります。察しはつくと思いますが、Aはビッグワード、Bはミドルワードです。
以下の検索結果のCTRを見ても、表示回数1万のページで10位に表示されるよりも、表示回数1000のページで1位になる方が圧倒的に効率が良いことがわかります。
![]()
Google Organic Click Through Study | Whitepapers by Internet Marketing Ninjas
他の検索クエリを見ても、単純な月間検索ボリュームだけで良し悪しが判断できないことは、十分にわかってもらえると思います。
具体的なロングテールSEOのやり方
ロングテールSEOの実践で大切なことは、サイトのテーマと目的、明確なターゲットを決めて、その目的につながるカテゴリを細かく作ることです。
たとえば、ダイエットサプリを扱う企業がサプリをPRするためのサイトを作ったとします。テーマは、「30代以上の女性がダイエット知識を得られるサイト」、ターゲットは「30代以上の女性」です。
サイトの大カテゴリを「運動方法」「サプリメント」「食事制限」とし、さらに中カテゴリ、小カテゴリまで決めます。以下は、わたしに知識がないので適当ですが、もっと細かく洗い出してください。
-運動方法(ダイエット 運動:33100)
-有酸素運動
-ジョグ
-水泳
-無酸素運動
-筋トレ
-サプリメント(ダイエット サプリ:90500)
-プロテイン
-アミノ酸
-マルチ
-食事制限(ダイエット 食事:90500)
-ファスティング
そこからさらに、小カテゴリに分類されるロングテールキーワードを抽出して、キーワードに合ったページを作成します。たとえば、「運動方法 > 無酸素運動 > 筋トレ」に分類されるロングテールキーワードには以下のものがあります。
産後ダイエット 筋トレ(260)
更年期 ダイエット 筋トレ(110)
1日1食 筋トレ(260)
有酸素 筋トレ 順番(210)
アラフォー 筋トレ 女性(590)
おしり痩せ 筋トレ(480)
これらのロングテールキーワードを見れば、どのようなページを作れば良いかイメージできると思います。たとえば以下のような感じ。
「サプリメント販売が目的なのに、運動とか食事制限は関係ないじゃん。」と思った人もいるでしょう。詳細は省きますが、サイトのテーマや目的、ターゲットによって、サイト全体の規模感やカテゴリは変わります。
まずは、何となくロングテールSEOにつなげる流れを理解してください。
ロングテールSEOの成果が出るのは半年~1年後から
ロングテールSEOは、小さなアクセスをコツコツ積み重ねる方法のため、成果が出るにはある程度時間がかかることを覚悟してください。
おそらく、WEBサイトの運営を始めてから最低でも半年から1年、それ以上の期間を擁する場合もあります。
その代わり、ロングテールSEOを正しく実践すれば、積み上げた売上などの成果やアクセス数が急激に落ち込んだり、不安定になることは減ります。
長く続ければ、それだけサイトブランディングも確立できますし、ドメインパワーも徐々に増していきます。
そのような状態になって初めて、ミドルワード、ビッグワードでの検索流入も期待できるようになっていきます。
継続して成果を出し続けるWEBサイト運営をしたいなら、今からロングテールSEOを理解し、ロングテールキーワードを使ったWEBサイトづくりに取り組んでください。