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サイテーションは新しい概念?
最近、「サイテーション」という言葉を聞くことが増えました。
サイテーションを獲得する方法、サイテーションを構築する方法は、サイテーションビルディングと呼ばれ、現在のSEO業界のパワーワードの1つになっていますね。
ただ、「サイテーションはSEOに影響があるから意識すべき!」「サイテーションを獲得しても意味がない!」など、どちらの意見も聞かれます。
実は、このサイテーションは、2010年頃にすでに話題になっていて、当時もさまざまな議論があったことを覚えています。そんなサイテーションが、今注目を集めているのは理由があります。
- サイテーションとは何か
- サイテーションがGoogleから評価される理由
- サイテーションで気をつけること
それでは早速見ていきましょう。
サイテーション(citation)とは
citationは、「引用」という意味です。
SEO業界においてサイテーションとは、企業名やサイト名などがWEBサイトやSNSで言及されること、または言及されたWEBサイトが評価を受けて検索結果に影響することを言います。
たとえば、このサイトだと「わかること!っていうサイト勉強になるよね。」などがSNSで言及されることですね(言って欲しい)。
さて、SEOの仕組みを知っている人からすると、被リンクされずに言及だけでGoogleから評価されると聞いて納得できるでしょうか。
そもそも被リンクが多く集まるページ(コンテンツ)が評価される理由は、被リンクが人気投票の役割を果たしているためです。そのため、以下ではWEBページAの評価が高くなります。

ただし、被リンクを集めることは簡単ではありません。誰かがこのページにリンクを貼るには、以下の明確な動機が必要です。
- リンク先の内容を引用したり、参考にした記述をするため
- リンク先の商品や場所などを紹介するため
- 記述した内容より、詳細な内容を参照してもらうため
つまり、Googleは「面倒な被リンクがたくさん貼られているから、このページは多くの人に評価されてるんだ。」と判断するわけです。
もちろんGoogleは、必要があってリンクを貼ったのか、単なる(ブラックハット)SEO目的でリンクを貼ったのか、その被リンクの質を見極め(ようとし)ています。
ところが、サイテーションはただの言及です。いつでも、誰でも簡単にSNSで呟ける時代に、ただの言及の質を見極めて、それをサイトの評価につなげることができるとはにわかに信じられません。
サイテーションでGoogleから評価される理由
サイテーションのよるSEOの効果は、荒唐無稽な理論ではありません。
もともとMEOに使われている
サイテーションは、Googleマップにおいて、登録したGoogleマイビジネス情報の上位表示要因の一つとして認められたものです。
店舗ビジネスオーナーにとって、ローカル検索の上位表示、Googleマップ上の店舗表示の有無は死活問題です。
このようなGoogleマップ内の上位表示対策・地図表示対策のことを「MEO(MAP Engine Optimization)」と言います。サイテーションとして注目すべき点は「知名度」の部分です。
ビジネスについてのウェブ上の情報(リンク、記事、店舗一覧など)も知名度に影響します。Google でのクチコミ数とスコアも、ローカル検索結果の掲載順位に影響します。クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、掲載順位が高くなります。ウェブ検索結果での掲載順位も考慮に入れられるため、SEO の手法もローカル検索結果の最適化に適用できます。
つまり、被リンク以外でもWEB上のテキスト情報が、マップ検索・ローカル検索の上位表示のシグナルとして使われていることを示しています。
Twitterのリンクが影響している
「えー、Twitterのリンクってnofollow付いてるじゃん!」と思うかもしれませんが、実はSNSのリンクはランキングアルゴリズムの要素として使われており、Googleもそれを言及しています。
以下、Search Engine LandのDanny Sullivanが、Google・Bingと話した内容です。Google部分のみかいつまんで紹介するため、詳細は「海外SEO情報ブログ」を参照してください。
Google:オーガニック検索やニュース検索のランキングシグナルとして使っている。記事の共有数を記録することで一般的なニュース性の判断に用いている。
Danny:Twitterユーザーのオーソリティを計算(重視)しているか。
Google:ツイート、リツイートをしたユーザーのオーソリティは計算している。
Danny:Twitterユーザーによってリンクの重要性が変わるか。
Google:とくにGoogleリアルタイム検索に用いているが、通常の検索では限定的にしか用いていない。
判明!、Twitterからのリンクはランキングに影響していた | 海外SEO情報ブログ
2010年の話なので、どう変化しているかはわかりません。Googleリアルタイム検索もなくなりました。ただ、Twitterでの言及やリンクが、ランキングアルゴリズムのシグナルとして、検索順位に影響を与えている可能性はあります。
E-A-Tの判断要素に用いられている
Googleはここ数年、情報のE-A-T(専門性、権威性、信頼性)に力を入れています。それは、YMYL(Your Money or Your Life)分野のセンシティブな情報が、正しく検索されるようにするためです。
Authoritativeness(権威性あること)
TrustWorthiness(信頼性があること)
では、専門性、権威性、信頼性はどのように担保されるものでしょうか。
「わたしはSEOの専門家で、日本有数の権威です。」とWEBサイトに記載しても、それは個人的な主張でしかありません。ただ、そこに個人や企業の詳細プロフィールが書かれていれば、そこからひもづく評価はWEB上で見つかるかもしれません。
また、そのWEBサイトが認知されていて、多くの人が指名検索をする場合は、評価対象になるかもしれません。
実際に「Google品質評価ガイドライン(General Guidelines)」には、評価基準の「Needs Met」の最高評価(Fully Meets)として、指名検索(完全で完璧な回答)が記載されています。
Fully Meets is a special rating category, which can be used in the following situations:
● The query and user need must be specific, clear, and unambiguous.
● The result must be fully satisfying for mobile users, requiring minimal effort for users to immediately get or use
what they are looking for.
● All or almost all users would be completely satisfied by the result—users issuing that query would not need
additional results to fully satisfy the user intent.
詳細はまた別途お話しますが、その他には「コンテンツの作成者の評判」「ニュース記事やWikipediaの出典、フォーラムのディスカッションによる評価」なども、E-A-Tを担保する役割を持つことが記載されています。
サイテーションの効果を最大化する方法
では、検索結果に影響を及ぼすサイテーションの効果を最大化するために、わたしたちはどのような方法でアプローチすれば良いのでしょうか。
わかりやすい名称を心がける
WEB上のサイテーションを増やすためには、わかりやすいサイト名称、管理人名称を浸透させ、覚えてもらいやすいマーケティングをする必要があります。
たとえば、「わかること!」は比較的わかりやすい名称だと思います。わたしが、コンテンツ内でこのサイトを「わかること!」と呼ぶのは、少しでも認知度を上げる意識をしているためです。
使いやすい名称を心がける
たとえわかりやすい名称でも、使いづらい名称ではいけません。たとえば、「ち○ち○」とか……。仮に言及されたとしても、良い言及をされるとは思えません。
言及しやすさを考慮する
また、コンテンツ内容とサイト名称に関連性がある方が認識されやすく、言及にもつながりやすくなります。そういう意味では、「海外SEO情報ブログ」はとても良いネーミングですね。
WEBサイトのネーミングに関しては、以下を参考にしてください。
SNSを活用する
もちろん、SNSの活用も忘れてはいけません。生の声で個人的な情報を発信し、他のTwitterユーザーと積極的にコミュニケーションをとるのがベストですが、最低限コンテンツ公開時にはそれを宣伝してください。
1年前、2年前に紹介したコンテンツがSNSでリツイートされることも珍しいことではありません。それが、地道な評価の積み重ねになります。
専門的でわかりやすいコンテンツを作る
結局はこれがもっとも重要です。専門性が高く、個性的でわかりやすいコンテンツを作ることで、引用されたり、言及される機会は格段に増えます。
SNSでも、誰かの心に刺さらない無難なコメントは誰も言及しません。サイテーションが多いサイト・人は、やはり質が高いコンテンツを提供しています。
サイテーションを確認する
最後に、ある程度の時期を決めて、WEB上のサイテーションの確認をしてください。
たとえばこのサイトを確認する場合は、「”わかること!”」「”wakarukoto.com”」とダブルクオーテーションを付けて検索します。

このように言及されていることがわかれば、たとえば連絡をとってより詳細な情報を提供したり、言及内容に対するレスポンスを返すなどの絡みも考えられます。
サイテーションに力を入れるべき?
というわけでサイテーションは、現在のところ検索順位を決めるシグナルの1つとして考えられているため、力を入れた方が良いという結論です。
ただし、何でもかんでもサイテーションがあれば評価を受けるわけではありません。
「わかること!」という言及だけではそれほど意味はないものの、「わかること!めっちゃわかりやすい。」「わかること!ってクソだな。」など前後の文脈によって、検索順位にもプラスマイナスの影響を受ける可能性があります。
また、やたらとサイテーションの重要性を語る人もいますが、基本は質の高いコンテンツ、質の高い被リンクの獲得が重要で、サイテーション獲得はその結果生まれと認識した方が良いでしょう。
ただし、これまでTwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを活用していなかった人は、サイト運営の流れの中にSNSを絡めて、よりサイテーションを獲得しやすい環境を作ってください。
Google検索は、今後ますますユーザーの検索意図を反映できる検索エンジンになっていくはずです。
サイテーションが重視されるのも流れの一環だと考えて、よりユーザーファーストとE-A-Tを重視したWEBサイト運営を心がけましょう。