本記事の初稿は2014年10月です。
2019年6月現在、5年経って本当に生き残ったサービスはどこなのか、市場など現在の状況を追記しています。
フリマアプリの勝ち組、負け組がはっきりしてきた
さて、2013年に出揃った第一陣のフリマアプリプレイヤーたちも、かなり絞りこまれてきましたね。
2014年参入組は、とりあえず参加してみましたっぽく見えますが、今後どうなるかはまだわかりません。この中から大きく成長するサービスが出てくるかもしれません。
今日は、ある程度全貌が見えてきたフリマアプリで生き残るプレイヤーの比較、今後生き残るフリマアプリの特徴をお伝えします。
とは言え、フリマアプリはまだまだこれからの市場です。フリマアプリがよくわからない人もいるはずなので、まずフリマアプリの基本的な特徴を押さえておきましょう。
なお、2014年2月に男女300人に行ったフリマアプリ利用調査では、以下の結果でした(10代63人、20代116人、30代68人、40代40人、50代11人、60代2人)。
フリル:51人
ラインモール:28人
クロシェ:15人
mixiマイ取引:9人
リストア:7人
STULIO:5人
その他:10人
使っていない:188人
フリマアプリの基本的特徴
まず「フリマ」の由来ですが、個人間で行えるモノの売買=フリーマーケットという言葉を当てはめているだけだと思います。
アプリ内で個人間売買が行えればフリマアプリと言ってよいのですが、今主に使われているフリマアプリは、それだけではない特徴がいくつかあります。
2.フリマアプリは売買の際の手数料で運営されている
3.フリマアプリはスマホカメラで出品がとても簡単
4.商品代金はまず運営者に支払うので安全
5.フリマアプリは売買なのに消費税がかからない
オークションは入札、フリマは固定価格
ヤフオクなどを使ったことがある人はわかると思いますが、オークションは基本的に複数のユーザーが買いたい価格を入札し、開催時間内で一番高い価格を提示したユーザーがその商品を購入できる仕組みです。
対して、フリマは売りたいユーザーが商品価格を決めて、買いたいユーザーがその価格で買うという通常の店舗販売と同じ形式をとります。
売買の際の手数料で運営されている
フリマアプリ自体は、すべて無料アプリです。そのため、ユーザー同士が物品を売買する際の手数料によって運営されています。
商品販売時にかかる手数料は、商品価格の10%ほどが多いですね。ただし、期間によって変わったり、キャンペーン等で割引や無料になったりします。
商品購入時にかかる手数料は、無料、100-300円、0-10%などフリマアプリによって変わるので注意が必要です。
スマホカメラで出品がとても簡単
主なフリマアプリは出品が手軽なことも大きな特徴です。その理由はスマホを使うからです。
↓
2.スマホのカメラを起動して商品写真を撮る
↓
3.商品の説明と売りたい金額を設定して出品する
↓
4.売れたら梱包して発送する
スマホのカメラで撮って、すぐにアップするというアクションがこれまでのネット取引と違い、だれでも直感的に簡単に行えるようになりました。
商品代金はまず運営者に支払うので安全
フリマアプリは購入者を詐欺から守るために、商品購入代金を運営者に預ける仕組み(エスクロー)をとっています。以下の流れが一般的です。
2.出品者が商品を購入者に送る
3.購入者が商品の受け取り確認を行う
4.運営者が出品者に預かったお金を振り込む
フリマアプリでの売買は消費税がかからない
フリマアプリだけではなくオークションもそうですが、個人間取引は一部を除いて商品自体には消費税がかかりません(事業者が販売している場合は消費税がかかります)。
一部というのは、サラリーマンなどの収入以外で個人の年間の収入(売上)が1000万円を超える場合です。収入が1000万円を超える人は仕方がないですね。
ただし、収入ではなく所得が20万円を超える場合は所得税がかかるので勘違いしないよう。
生き残るフリマアプリを4つの特徴
さて、次に生き残るフリマアプリの特徴です。以前はもっとたくさんあったフリマアプリも「あれ?いつの間にかなくなってる!」という状況です。
そこで、これから生き残るであろうフリマアプリの特徴をご紹介します。
2.ポイントシステムを導入している
3.資金力がある
4.サービス自体に特徴がある
では、具体的に説明していきます。
iPhoneアプリ、Androidアプリ両方出している
2014年10月現在、日本のiPhoneユーザー、Androidユーザーはおよそ半々といったところです(2019年6月は4:6ほどでAndroidが多い)。
フリマアプリはCtoC事業で手数料ビジネスのため、ユーザースケールが必須です。
今がユーザーの拡大時期であるにもかかわらず、iPhoneアプリ、Androidアプリのどちらか一方しか対応していないのは致命的です。
また、以前よりもスマホアプリ開発用のモジュールが充実している今、片方しか用意できないというのは、資金力か開発力が乏しいと宣言しているようなものです。
ポイントシステムを導入している
ユーザー争奪戦が激しいフリマアプリの比較点として、手数料がいくらかという要素があります。
現在はキャンペーン名目で手数料を0円にしているフリマアプリは多いため、必然的に0円を謳い続けられるサービスに人が集まるでしょう。
もちろん、ずっと手数料が0円では収益がまったくでませんよね。そこでさまざまな効果をもたらすのがポイントシステムです。ポイントシステムならではの利点を考えていきましょう。
キャッシュフローが良くなる
フリマアプリがエスクローを担っているので、サービスが保持するキャッシュは出品者が手数料を払って換金するか、そのフリマアプリのポイントに換えるかのどちらかです。
ポイント引当金処理により、会計上は費用計上されますが、キャッシュが潤沢になります(預り金ではありますが)。
ポイント引当金関係の仕訳 – Obra de Sobra よしなしごと
ポイント失効が利益につながる
ポイント制度を導入した場合、1ポイント=1円換算が多いとは思いますが、すべてのユーザーが1円単位まで使い切ることは難しいはずです。
ポイントは預り金です。ポイントには使える期限があるため、ポイント失効分は営業外利益として繰入計上することが可能です。
売買が活発になる
運営者がユーザーに与えたポイントは、期限内に使わないと失効してしまいます。
仮に、ユーザーがポイントを使わなくてもプラスマイナスゼロです。ところが、与えられたものは損を基準に考えてしまうため、ポイントを使わないと損をしてしまうと考えてしまいます(フレーミング効果)。
そのため、本当に欲しいと思った商品ではなくても購入にポイントを使うユーザーが増え、売買が活発になります。
ユーザーを囲い込める
ポイントを持っているユーザーは、ポイントを使おうとするため、リピーターとして囲い込みやすくなります。
現時点ではフリマアプリ市場の立ち位置を確保するために、ユーザー数を増やすことが一番の目的です。
ユーザーを増やし、市場の立ち位置が決まった時点で本格的なマネタイズに移行するためにも、ポイントを使ってユーザーを囲い込みたいところ。
資金力がある
当たり前のことですが、資金力がなければ、ユーザーの囲い込みも新しい機能開発も、大々的なプロモーションも行えません。
では、最初から資金力があったところだけが生き残るかというと、そうではありません。途中で資金調達に成功し、バックグラウンドを固めていったサービスはいくつもあります。
出揃ったフリマアプリプレイヤー第一陣の中にはいくつか資金調達に成功したサービスも有りますが、今後はそれも難しくなっていくでしょう。
そうなると、資金力がある企業がスマホアプリ市場に参入するか、資金力のある大手とタッグを組むかということになります。このあたりは、グルーポンやオンラインチケットサービスなどと流れは同じです。
サービス自体に特徴がある
どのような市場も、本流と特化型(亜流というと失礼なので)に分かれて業界が形成されます。サービスに特徴を持たせるのは、チャレンジャー企業の差別化戦略でおなじみです。
たとえば、クラウドソーシングであれば、「ランサーズ」、「クラウドワークス」が本流で、動画制作に特化した「Viibar」、翻訳に特化した「conyac」、女性向けに特化した「ウーマン&クラウド」などが独自の色を出した特化型ということになります。
同様にフリマアプリもフリマアプリの本流で2-3サービス、特化型で複数が生き残ることになるでしょう。
勝ち残る5つのフリマアプリとは
mercari(メルカリ)

フリマアプリといえば「メルカリ」といえる位その地位を確立しつつあります。
Google Playの「ベストアプリ2013 ベストショッピングアプリ」、「App storeのApp Store Best of 2013 今年のアプリ」に選ばれるなど、すべてにおいて先行しています。
特に尖った特徴はありませんが、とにかくフリマアプリの流れを作った先行者メリットがあまりにも大きいと言えます。mercari(メルカリ)の特徴はこちらを参照してください。
ラクマ(旧フリル)
現在メルカリに続いて2番手に付けているのがフリルです。そして、ユーザーは女性限定という大きな特徴を出しています。
たしかに洋服類は女性物の市場が大きく、あえて男性を入れないことで、安全に取引ができるという安心感も演出できます。
先日、クックパッド、コロプラ、ジャフコから第三者割当で10億円を調達しましたし、以前にはデジタルガレージから数千万円の資金調達に成功しています。このようなバックグラウンドも生き残る要因でしょう。
Fril(フリル)の特徴はこちらを参照してください。
2019年7月追記
2016年9月にラクマとフリルが統合しました。それによって、女性限定という特徴はなくなりましたが、業界第2位の地位は盤石になりました。
LINE MALL(ラインモール)※サービス終了

LINE MALLには、LINEという大きなベースがあります。ユーザー数は発表していませんが、メルカリに迫るユーザー数を抱えているはずです。
また、仮にLINEが上場した場合、時価総額は一兆円を超えると言われていますので、資金的な問題もありません。
商品購入に対して1%還元をしていることはフリマアプリの中で大きな特徴です。マネタイズを考えていないというわけではないと思いますが、ベースはLINEプラットフォームの形成であるため、ムリなマネタイズの必要はありません。
もしLINE MALLにつまづきがあるとすれば、フリマアプリ市場の成長が予想ほどではなかった場合です。LINEの企業規模から、コミットラインよりも市場規模が下回ってしまえば、自ら撤退してしまう可能性はあります。
LINE MALL(ラインモール)の特徴はこちらを参照してください。
マムズフリマ※サービス終了

まず運営母体はサイバーエージェントなので、ひとまずバックグラウンドの心配はないでしょう。
サイバーエージェントお得意の女性、子育て世代へのアプローチなので、ベビー用品やおもちゃ、教育用品などがうまくハマれば伸びていくはずです。
マムズフリマのオフラインイベントも何度か開催されているようなので、このオンオフの訴求でブランディングできれば面白いと思います。
今回取り上げた他のサービスに比べユーザー数が少ないため、新しいプロモーションや新しいターゲティングを行ってくることが予想されます。
恐らく、ターゲットは子育て→女性全般に広がるとは思いますが、個人的にはこのまま子育て女性をメインに事業展開していって欲しいところ。今後に期待です。
マムズフリマの特徴はこちらを参照してください。
ショッピーズ

ショッピーズはファッションアイテムに特化したフリマアプリです。109系のブランドが多く、ギャルアイテムも多いので、一部の根強い層に支持されているといますね。
ショッピーズ自体は、もともとWEBサイトと3G携帯サイト時代から運営されてきていますし、他のフリマアプリと違って、元々のユーザー数と収益源はある程度確立されているため、今更撤退する意味はないでしょう。
ショッピーズの特徴はこちらを参照してください。
その他のフリマアプリプレイヤー
さて、大手で資金力が豊富であれば拡大していける、というほどビジネスは甘くありません。
特にライバルプレイヤーが頭ひとつ出だした状態でそこに注力していけるほど、本業に余裕がある企業はそこまでないでしょう。というわけで、他のプレイヤーの寸評です。
「kiteco(キテコ)」は残念ながら特徴に欠けています。全手数料無料というキャンペーンを続けていますが、プロモーションをほとんどやっていないため、GMOが運営する割には、一般的な認知度は低いはずです。
「mixiマイ取引」は最初こそ話題になりましたが、mixiがやっているというだけ。特に特徴もありませんし、mixiアカウントが必要というところもマイナスポイントです。
「ClooShe(クロシェ)」はYahoo!が運営していますが、まったくヤル気を感じません。Androidアプリもありませんし、プロモーションも皆無です。ヤフオクあるし、いいのかなと。
こんな感じで、有名企業も今のところはとりあえずフリマアプリに取り組んでみましたという感じですね。乏してるわけじゃないですよ。本気ならもっと力入れられる企業ばっかりですしね。
2019年7月追記
ひとまず予想した中で当たっていたのは、メルカリとラクマ(旧フリル)、ショッピーズでした。ただし、メルカリは誰でも予想できますし、フリルが生き残ったというよりもラクマが生き残ったという方が妥当ですね。
マムズフリマはサイバーエージェントなのでさもありなんですが、ラインモールが終了したのは意外でした。また、その他のプレイヤーで書いたキテコ、mixiマイ取引、クロシェも全滅です。
初稿から5年経ちますが、ここまで大きな市場を築くとは思っていませんでした。フリマアプリの市場規模は2018年で6000億円を超えているため、2019年は1兆円に迫るのではないかと思います。
とりあえずまたいつか続きを書きたいと思います。