コンビニが若者を捨て、高齢者をターゲットにした戦略とは

コンビニのターゲット顧客層が若者から高齢者に

コンビニの利用者と言えば、若者を思い浮かべる人も多いと思います。ところがこのようなデータが有ります。

セブンイレブンにおける来客年齢階層比

コンビニ来訪客の世代分布をグラフ化してみる(2014年)(最新)|Garbage NEWS.com

25年前と今を比べると、高齢者が若者の利用率を逆転してしまっています。

コンビニで取り扱っている商品も、以前に比べると生活に密着したものが充実しています。特に食料品が顕著です。

近年コンビニが惣菜などに力を入れているのは、一人暮らしの若者ではなく、都市部の高齢者層をターゲットにしているためです。

というわけで、コンビニは利用ターゲットを明確に高齢者に移してきています。なぜなのでしょうか。

コンビニと高齢者の相性が良い理由

社会構造が高齢社会に変化したから

コンビニが利用ターゲットを高齢者に移す一番大きな理由は、社会構造の変化です。総務省によると、日本の人口に占める65歳以上の割合が25%を超えました。

総務省が15日発表した2013年10月時点の人口推計によると、15~64歳の生産年齢人口が32年ぶりに8千万人を割り込んだ。65歳以上の高齢者(老年人口)の割合は数値を公表し始めた1950年以降、初めて25%を超えた。

生産人口、32年ぶり8000万人割れ 65歳以上25%超す|日本経済新聞

都心部や郊外集合住宅周辺では高齢化が進んでいるため、店舗まで少し歩くスーパーよりも、目の前にあるコンビニを利用する方が利便性が高いということになります。

再就職で高齢者の働き手が増えたから

もう一つは働き手の変化です。

高齢者が増え、コンビニへの再就職の需要が増しました。コンビニ業務に(基本的に)年齢制限がないことがうまくマッチしているようです。

高齢者の採用はコンビニ側にもメリットがあります。以前は、「コンビニ=若者文化」だったため働き手も若者でしたが、働き手に高齢者を多く採用することで、高齢者の利用が増加します。

実際、働き手が高齢者で利用者も高齢者なため、レジ前が井戸端会議のようになっているシーンを何度も見たことがあります。

では次に、コンビニが高齢者に対してどのような仕掛けを行っているのか、その戦略やサービスを見ていきます。

高齢者に対する各コンビニの宅配サービス

足腰の弱った高齢者にとって、徒歩圏内にあるコンビニは非常に便利です。この利便性をさらに追求したサービスが、「コンビニ宅配サービス」です。

セブンイレブンの宅配サービス:セブンミール

オムニ7 – セブン-イレブンのお届けサービス セブンミール|サービスのご案内

セブンイレブンは、2015年度に国内総店舗数が2万店舗を超えています。

もちろん、国内コンビニ各社の中で最多店舗数を誇りますが、高齢者が歩いて訪れるには困難な場合もあります。そこで、お弁当や日用品を届ける宅配サービスを全店舗に広げています。

配達に使う電動アシスト自転車を約1万6000店に導入し、注文が多い店舗には超小型電気自動車(コムス)も13-14年度で3000台の導入を予定とのこと(※2014年6月時点)。

ローソンの定期購入サービス:スマートキッチン※サービス終了

ローソンでは食材などの定期宅配定期購入サービス「スマートキッチン」を展開しています。

こちらは元々働く女性、ママのための食材定期購入サービスだったのですが、高齢者にも利用してもらえるサービスとして利用者を拡大しています。

高齢者はどうだろうか。こちらは、毎週、好きな曜日、時間に希望の商品セットが定期便で配送されてくるから、買い物の苦痛から解放されるという利点がある。さらに、野菜をはじめ生鮮食品が少量(ネギ1本、シラス干し60グラムなど)でも購入できることが便利。

高齢者にやさしいコンビニ宅配サービスの可能性|ローソン広報 Smile Blog

ファミリーマートの高齢者専門宅配弁当チェーン:宅配クック123

宅配クック123

ファミリーマートでは2012年4月に高齢者専門宅配弁当チェーン宅配クック123を買収し、弁当宅配業をスタートさせています。

こちらは元々あった全国300店舗と高齢者向けのケータリングノウハウを活かしたサービスで、ファミリーマートのお弁当を中心に取り扱っています。

高齢者層を意識した高級志向+お一人様のブランディング

前述しましたが、各コンビニは食料品の開発に力を入れています。特に高齢者層の生活を意識して「美味しい小分けの惣菜」や一段上の高級食品をブランディングする戦略を展開しています。

セブンイレブンの小分け食材の販売:セブンプレミアムシリーズ

セブンプレミアム

セブンイレブンでは、惣菜の開発、及びセブンプレミアムシリーズの開発に力を入れています。

惣菜は一品ずつ小分けして袋につめられ、それなりの値段で販売されています。小分け商品は割高になってしまうのですが、今美味しいものを食べたいという高齢者層のニーズにマッチしています。

更に、小分け商品は購入回数を高める効果もあるため、来店頻度の向上、客数の引き上げにも寄与します。

セブンプレミアムシリーズは非常にわかりやすい戦略です。

ローソンの日用品充実作戦:ローソン100

ローソン100

ローソンでは店舗の立地から市場調査を行い、コンビニ定番商品以外の商品を充実する作戦を行っています。

例えば、ローソン100が挙げられます。

食品は惣菜だけでなく生鮮食品を揃え、洗剤などの日用品を増やすことで、スーパーのような感覚で買い物ができる店舗を増やしています。

もちろんローソンでも小分け商品の開発を行い、和風の惣菜に力を入れています。メリットはセブンイレブンと同様です。

ファミリーマートのシニア向けの新ブランド:おとなコンビニ研究所※終了

ファミリーマートでは、おとなコンビニ研究所を立ち上げ、高齢者向け商品に力を入れていることを外部に向けてアピールしています。

「アクティブで豊かな生活を送りたい」「こころの豊かさを求めたい」…今を生きる50歳から65歳の世代は、これまでの高齢者や熟年、シルバー、シニアという言葉ではもはや語れません。新しい日本人の誕生、と言っても過言ではないのです。そこでファミリーマートは2010年、同じ考えを共有する『クラブ・ウィルビー』のメンバーと協働で、『おとなコンビニ研究所』を起ち上げました。

おとなコンビニ研究所では、高齢者層に好まれる味やパッケージの研究をしたり、素材を厳選し、高級感のある商品開発で大人の誘導を図っています。

コンビニは今後ますます高齢者需要が高まる

今回は、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのサービスをピックアップしましたが、その他のコンビニでも同じように高齢者需要を感じ、高齢者層をターゲットにした戦略を展開しています。

また、昨今のコンビニはあらゆる処理手続きの窓口機能も拡充しており、遠くまで行けない高齢者に利便性が高いサービスになりつつあります。

・公共料金の支払い
・宅配荷物を受け取る
・宅配荷物を預ける
・バス、航空券、コンサートチケットの購入
・税金の支払い
・郵便ポスト
・収納代行
・宝くじなどの購入
・住民票取次などの行政関連サービス
など

今後ますますコンビニの高齢者層の利用は増えていくでしょう。数年後には病院に変わって、コンビニのイートスペースが井戸端会議の場所になっているかもしれません。