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オウンドメディアはKPIの仮置きが大切
オウンドメディア運用は、目標となる数字の設定が非常に重要です。必ず数字を設けて、最適なKPI設定を行ってください。
目標を実現するためには、オウンドメディアを将来どのようにしたいかを具体的に想像しなければいけません。
資料請求や商品販売サイトへの誘導、電話・メール問い合わせなどのコンバージョンポイント(CVP)を設け、1か月単位で効果測定などして、黙々と運用を続けます。
目標設定に据える数値は、あなたの今の仕事で明らかな数値を仮置きして考えてください。
たとえば、教材の販売をしているとして、現在の仕事で判明している数値を並べると下記のようになったとしましょう。
- 1契約に付き10万円の売上
- 売上の粗利は40%
- 100件電話をしたら、2件のアポイントが取れる
- 5件アポイントがあると、1件が成約する
- 電話の問い合わせがあった場合は、10件のうち1件が成約する
- 自社サイトには月間で1,000人が訪れている
- 自社サイトの問い合わせフォームを使って、月間10件の資料請求が来る
- 100件の資料請求があると、3件が成約する
今回の事例では、最終目標を「契約につなげる=売上をあげる」ことと仮定して考えてみたいと思います。
オウンドメディア目標設定の仮置きとその考え方
たとえば、1年後に月間で30万人がオウンドメディアに訪問してくれる、という目標を立てたとしましょう。
複数回訪問者の割合 → 10万人中20%の2万人
資料請求する割合 → 2万人中5%の1000人
1年後の訪問者数は10万人/月
計画を立てて、しっかり1年間オウンドメディアを運用すれば、月間10万人の訪問者は不可能ではありません。まずはこの数値を目標においてみます。
複数回訪問者の割合は10万人中20%の2万人
仮に10万人の訪問者がいた場合、わたしの経験で複数回訪問者の割合は20-30%前後になると予測します。
資料請求する割合は2万人中5%の1000人
リスティング広告の一般キーワードだとCVRは1%前後ですが、2万人は複数回訪問者のためCVRは5%と仮定し、1000人が資料請求すると予測します。
目標設定の仮置きからオウンドメディアの価値を考える
上記の数値でわからないものもありますが、わからない数値はあくまでも仮置きです。
現在の仕事の数値を見ると、資料請求から成約する確率が3%なので、1000人の資料請求のうち30件が成約すると予想できます。
1件の売上が10万円、粗利が40%なので、以下のように計算できます。
30件×10万円=売上300万円/月
売上300万円/月×40%=粗利120万円/月
もし仮にこのような目標をたてた場合、1年後にあなたのオウンドメディアは以下のような価値を持ちます。
- 月間で10万人があなたの発信した記事を見る
- 月間で2万人があなたの発信した記事を期待して見ている
- 月間で1000人が記事に影響を受けて何らかのアクションをする
- 月間で300万円の売上、120万円の粗利が出る
ここで重要なことは、「2万人がオウンドメディアを複数回訪問していて、あなたが発信している情報にメリットを感じている」ということ。つまり、2万人の潜在顧客を抱えている状態だということです。
オウンドメディア運用の前提条件-月間10万人の訪問者をつくるためには?
次に、運用コストがどれ位かかるのかを考えましょう。あくまでも、1つの事例です。
もし上記の仮定で、1年後に単月黒字化させたいのであれば、人件費等含めて月間120万円まで使うことが可能だということになります。
前提条件である月間10万人の訪問者をつくるためには、どう考えればよいでしょう。
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単純に12か月で割ると、1か月あたり0.83万人ずつ増加する必要がある
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初月に0.83万人は現実的ではないので、後半の伸びを前半の倍と仮定する
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初月0.415万人の訪問者が必要
初月0.415万人はハードルが高く感じるので3か月単位で考えてみます。その場合、3か月目に1.245万人の訪問者が必要です。何となく達成可能な数字に感じます。
3か月目の目標を確実に達成するために、仮に月間20本(1本/日)の質の高い記事を作成することを心がけます。
20本×3か月で60本です。つまり、60本の記事がある状態で、3か月目に1.245万人/月の訪問者が達成できれば良いことになります。
※厳密に言うと3か月目に60本が公開し終わる
12450人÷60本=207.5人
1本あたりの訪問者は207人/月になります。1か月30日だとすると、
207人÷30日=6.9人/日
3か月目までは1本あたり1日6.9人ずつ訪問者が増えれば良いことがわかりました。かなり現実的に思えてきたでしょうか。
パレートの法則で考えれば、全体の2割の記事数で8割の訪問者を補ってくれます。これまでの経験でも同じくらいだと思います。
90本×20%=18本
1.245万人×80%=0.996万人
18記事で月間1万人ほどの訪問者を作れれば、1.245万人/月は達成できるはずです。もちろん記事数を増やせば、より多くの訪問者を獲得することが可能です。
オウンドメディアの記事作成にかかるコストを考える
では、20本の記事(1本/日で20日)を作成するのにどれ位のコストがかかるのでしょうか。
質の高い記事を作成しようとした場合、約2000-3000文字は必要です。プロのライターで1日15kb(約7000文字)程書くそうです。
具体的な計算は後で紹介するとして、1本あたりおよそ3時間以上かかります。専属のライターを付けても質の高い記事を作成するには1日2本が限界です。
自社で記事作成をする場合、ルールに沿った書き方と慣れが必要なので、1本/日を書くためには1人は確保したいですね。画像加工や校正を含めると1.5人前後必要と考えます。
その場合の会社のコストは50-60万円~/月といったところでしょうか。最初のうちはコスト先行ですが、今回の事例の場合、1年後に月間10万人の訪問者を達成できれば単月黒字は簡単です。
オウンドメディア全体にかかるコストを考える
運用にどういった費用がかかるのか理解をするために、オウンドメディア運用の流れを見てみましょう。
オウンドメディア事前準備
まず、オウンドメディア自体の構築や目標設定が必要になります。
- サーバーの選定
- WordPressの構築
- WordPressやプラグインの設定
- デザイン、作り込み
- オウンドメディアのコンセプト設計
- Googleアナリティクス、サーチコンソールなどの設定
オウンドメディア記事作成から公開まで
記事をつくるためには、検索キーワードが非常に重要です。メディアコンセプトを踏まえた上で、キーワードを洗い出し、キーワードに沿った記事作成を行います。
- ネタ出し
- キーワード選定
- ターゲット設定
- 仮タイトル作成
- 概要設計
- リサーチ
- ライティング
- 挿絵・画像準備
- 推敲・本タイトル作成
- アイキャッチ準備
- 校正・校閲
- description作成
- 予約投稿
- 記事公開
- SNSによる拡散
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オウンドメディア運用
記事公開後の運用も非常に重要です。タイトルや本文の見直し・修正もアクセス解析などのデータに基いて効率良く行います。
- 月次レポート見直し
- タイトル修正
- 本文修正
- 必要ツール配置、設定見直し
- ユーザー対応
オウンドメディアのコストに対する考え方
初期のオウンドメディア構築費用やサーバー費用がかかります。外注するとオウンドメディア構築にかかる費用は50万円-200万円とさまざまです。
あくまでもビジネス目的なので、自社で構築できる人材がいない場合はしっかり外注すべきです。
記事作成と記事公開にかかる時間は前述した通りです。慣れてくると、1本換算で3時間程度ではないでしょうか。
記事公開後の運用コストはまちまちです。最初から運用に時間を割くよりは記事作成に時間を使ってください。
1か月で少ない場合2-3日、訪問者や記事が増えてくると対応日数も増えてます。運用しながら徐々に調整をしていきましょう。
後は、数字的な費用対効果とそれ以外の費用対効果を考慮して、オウンドメディアに取り組んでみましょう。メリットとデメリットはしっかり押さえておいてください。
- 企業ブランディング、認知度の向上
- マーケティング資産の蓄積
- 見込み顧客、顧客の囲い込み
- プラットフォームに成長させるまでに時間が掛かる
- 企業情報を発信するためリスクマネージメントが必要/li>
オウンドメディアの目標設定で重要なこと
さて、このように数値を仮置きしながら話を進めましたが、競合が少ない今始めるなら、1年の運用で訪問者10万人/月はどのような業種でも達成が難しい目標ではありません。
単純に時間とコストによるトレードオフという話ですね。
オウンドメディアで、わたしがもっともメリットだと感じることは、2万人の複数回訪問者がいることです。
ある程度セグメントされいて、今後も訪問する可能性がある2万人の潜在顧客を抱えることに、あなたはどれだけの価値を感じるでしょうか。
オウンドメディアは、誰に何を伝えたいのかというコンセプト設計と目標数値設定が非常に重要です。
もちろん、ユーザーに有益な情報を伝えられているか、目標数値は予定通り達成できているかなどの確認とその修正も必要になります。
もし、あなたの事業分野で競合がいなければ大きなチャンスです。今から情報を積み上げていけば一年後にはライバルを大きくリードしているとはずです。